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「値下げ競争」が世界を守った?...米ソの冷戦が核戦争にならなかった理由は「数学で」説明できる

2025年7月9日(水)16時41分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

まずは身近な例、「商売における値下げ競争」を考えてみよう。

A店が値下げをすればB店は対抗して値下げをする。よく見る他店対抗の構図だ。しかし、利益がなくなっては元も子もないので値下げにも限界がある。A店が限界まで値下げをした場合、これ以上値下げをするという戦略はとれない。その上、値上げをするとB店に客足が向かってしまう。

これはB店でも成り立つことで、どちらの店も戦略を変えられない均衡状態になっている。ある一定のラインまで来ると値下げ競争が収まるという均衡したこの状況を、値下げ競争における「ナッシュ均衡」という。

ちなみに、ナッシュ均衡を脱するためには、相手の店が潰れるのを待つか、価格以外の点でアピールする必要がある。身近にも存在するナッシュ均衡について、次は数値も交えた例を提示する。

矛盾している最適解「囚人のジレンマ」

次で示すのは、ゲーム理論で有名な「囚人のジレンマ」と呼ばれる問題だ。

newsweekjp20250630090853.png

あなたが容疑者Aの立場だとしたら、「黙秘」と「自白」、どちらを選択するだろうか。A、Bがとりうる選択を整理すると、次のようになる。

newsweekjp20250630090923.png

2人にとっての最適解はどちらも「黙秘」を選択し、ともに懲役1年を過ごすことだ。

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