最新記事
中東

「あなた方の解放の日は近い」イスラエルのイラン攻撃、真の目標は「体制転換」か

2025年6月15日(日)16時44分
イスラエルの攻撃で損傷した建物(テヘラン)

イスラエルによるイランへの奇襲攻撃には、イラン政府の核開発計画を著しく妨害し、核兵器開発に必要な時間を引き延ばすという明白な目的がある。写真は、イスラエルの攻撃で損傷した建物。6月13日、テヘランで撮影。WANA提供(2025年 ロイター/Majid Asgaripour/WANA)

イスラエルによるイランへの奇襲攻撃には、イラン政府の核開発計画を著しく妨害し、核兵器開発に必要な時間を引き延ばすという明白な目的がある。しかし、攻撃の規模や標的の選択、ネタニヤフ首相の発言からは、イランの現体制を打倒する「レジーム・チェンジ」が長期的目標であることがうかがえる。

13日未明の攻撃は、イランの核施設やミサイル工場、軍事指揮系統の要人や核科学者を標的とした。「イスラエルの目的の一つはレジーム・チェンジだ」とブッシュ(子)政権で高官だったワシントン近東政策研究所のマイケル・シン氏は語る。

「イスラエルは、イランの人々が立ち上がるのを見たいのだろう」と述べ、民間人の犠牲を最小限に抑えたことも、そのためだと指摘した。

イスラエルのネタニヤフ首相は攻撃開始直後のビデオ演説で、レバノンの親イラン武装組織ヒズボラに対するイスラエルの行動がレバノン新政権樹立とシリアのアサド政権の崩壊につながったと主張。イラン国民に向けて「私は、あなた方の解放の日は近いと信じている。そうなれば、われわれの古くからの偉大な友情が再び花開くだろう」と語った。

しかし、今回の攻撃で前例のない被害を受けたとはいえ、治安部隊に支えられたイラン指導部を退陣させるだけの支持をイラン国民から得られるかは疑問だ。シーア派が大半の国民の間でも反イスラエル感情が根強い。

シン氏は、イランで反体制派が結集するためにどのような条件が必要かは誰にも分からないと警告した。

編集部よりお知らせ
ニューズウィーク日本版「SDGsアワード2025」
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米GDP、第2四半期3%増とプラス回復 国内需要は

ワールド

インドに25%関税、ロ製兵器購入にペナルティも 8

ビジネス

米四半期定例入札、8─10月発行額1250億ドル=

ワールド

ロシア、米制裁の効果疑問視 「一定の免疫できている
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ関税15%の衝撃
特集:トランプ関税15%の衝撃
2025年8月 5日号(7/29発売)

例外的に低い日本への税率は同盟国への配慮か、ディールの罠か

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 2
    枕元に響く「不気味な咀嚼音...」飛び起きた女性が目にした「驚きの光景」にSNSでは爆笑と共感の嵐
  • 3
    【クイズ】1位は韓国...世界で2番目に「出生率が低い」国はどこ?
  • 4
    M8.8の巨大地震、カムチャツカ沖で発生...1952年以来…
  • 5
    一帯に轟く爆発音...空を横切り、ロシア重要施設に突…
  • 6
    いま玄関に「最悪の来訪者」が...ドアベルカメラから…
  • 7
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 8
    「自衛しなさすぎ...」iPhone利用者は「詐欺に引っか…
  • 9
    街中に濁流がなだれ込む...30人以上の死者を出した中…
  • 10
    日本人の児童買春ツアーに外務省が異例の警告
  • 1
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 2
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの習慣で脳が目覚める「セロ活」生活のすすめ
  • 3
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜つくられる
  • 4
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
  • 5
    航空機パイロットはなぜ乗員乗客を道連れに「無理心…
  • 6
    中国が強行する「人類史上最大」ダム建設...生態系や…
  • 7
    「様子がおかしい...」ホテルの窓から見える「不安す…
  • 8
    タイ・カンボジア国境で続く衝突、両国の「軍事力の…
  • 9
    中国企業が米水源地そばの土地を取得...飲料水と国家…
  • 10
    【クイズ】1位は韓国...世界で2番目に「出生率が低い…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 3
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 4
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 5
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの…
  • 6
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは…
  • 7
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜…
  • 8
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 9
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
  • 10
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中