最新記事
スパイ

韓国空軍基地で数千枚の写真撮影して逮捕された中国人高校生「父は中国の公安」

2025年4月10日(木)18時04分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

軍事機密を狙った広範囲の撮影作戦

捜査で明らかになった彼らの行動範囲は驚くべきものだった。この水原空軍基地をはじめ平沢(ピョンテク)烏山(オサン)など、韓国の空の守りを担う主要軍事施設4カ所を巡り、さらには国際空港3カ所までもターゲットにしていた。

彼らが所持していたデジタル一眼レフカメラとスマートフォンからは、最新鋭のF-35ステルス戦闘機を含む数千枚もの軍事施設の写真が発見された。これは単なる趣味の域を超えた計画的かつ組織的な情報収集活動の疑いを強く抱かせるものだ。


 

この事態を重く見た京畿南部警察庁安保捜査課、国家情報院、国軍防諜司令部は特別協議体を結成。「飛行機の写真を撮るのが趣味だ」と主張する容疑者たちの言葉の真偽を見極めるべく、写真の用途や背後関係の徹底調査が進められている。A君の中国公安という家庭環境との関連性も捜査の重要なポイントだ。

頻発する軍事機密への接近

今回の問題が深刻に捉えられているのはこれが単独の事件ではない、という点だ。昨年6月には中国人留学生3人が釜山に入港したアメリカの航空母艦をドローンで無断撮影、同年11月には国家情報院の庁舎を撮影していた中国人が摘発されるなど、中国人による韓国の軍事・安全保障施設への不審な接近が相次いでいる。

さらにはこの3月29日には現役の韓国軍兵士から軍事機密と非公開資料を収集してきた中国人グループのメンバーが逮捕される事件も発生している。彼らに情報を渡していた兵士は、軍内部のイントラネットに掲載された韓米合同軍事演習の進行計画などを渡していたという。

表面上は無邪気な行動の裏に潜む、国家間の緊張関係と諜報活動の影。韓国の安全保障に新たな課題を突きつける事態は、今後どのような展開を見せるのか。捜査の行方に注目が集まっている。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

出光興産、発行済み株の3.5%・300億円上限に自

ビジネス

午後3時のドルは154円前半、リスクオンで9カ月ぶ

ビジネス

韓国、グーグルの地図データ輸出要請に対する決定を再

ビジネス

インタビュー:インドのイエス銀を軸に反転攻勢、アジ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一撃」は、キケの一言から生まれた
  • 2
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評家たちのレビューは「一方に傾いている」
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    コロンビアに出現した「謎の球体」はUFOか? 地球外…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    インスタントラーメンが脳に悪影響? 米研究が示す「…
  • 7
    中年男性と若い女性が「スタバの限定カップ」を取り…
  • 8
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 9
    ギザのピラミッドにあると言われていた「失われた入…
  • 10
    レイ・ダリオが語る「米国経済の危険な構造」:生産…
  • 1
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 2
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 3
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 4
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 5
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 6
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 7
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 8
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 9
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統…
  • 10
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 8
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中