最新記事
環境問題

トランプ大統領が「石炭増産を促す大統領令」署名...環境団体は猛反発

2025年4月9日(水)08時57分
ホワイトハウスでスピーチするトランプ大統領

トランプ米大統領は8日、国内の石炭増産を促す大統領令に署名した。大統領復帰以来、米国の化石燃料生産拡大やエネルギー・環境関連規制の緩和ないし撤廃を推進する取り組みの一環だ。

米国の電源構成で石炭火力発電が占める比率は2000年の50%から20%弱に低下している。掘削技術の発達でよりクリーンな天然ガスの生産が増加したほか、太陽光や風力といった再生可能エネルギーの普及が理由だ。一方米国内では、人工知能(AI)向けデータセンターの建設ラッシュなどで電力需要も急拡大している。


 

こうした中でトランプ氏はホワイトハウスに招いた炭鉱労働者を前に「われわれは見捨てられた産業を再生させる」と語り、10年前に7万人だった炭鉱労働者が約4万人まで落ち込んだことに触れて「これらの労働者を仕事に復帰させる」と強調した。

大統領令には、閉鎖される公算が大きい石炭火力発電を維持する措置が盛り込まれた。またライト・エネルギー長官に対して鉄鋼生産用の石炭を「重要鉱物」に指定するかどうか判断するよう指示。指定されれば、大統領の緊急権限で石炭を増産できる条件が整う。

バーガム内務長官には、現在凍結している連邦所有地での新たな炭鉱開発向けリースを解禁するよう指示している。

ただ環境保護団体からは、空気を汚して競争力もない石炭火力発電を守るトランプ政権の計画は、過去のエネルギーにこだわり、消費者に余計な電力料金を負担させようとしているなどと強い批判の声が出ている。



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2024トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 英語で学ぶ国際ニュース超入門
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年5月6日/13日号(4月30日発売)は「英語で学ぶ 国際ニュース超入門」特集。トランプ2.0/関税大戦争/ウクライナ和平/中国・台湾有事/北朝鮮/韓国新大統領……etc.

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


ビジネス
栄養価の高い「どじょう」を休耕田で養殖し、来たるべき日本の食糧危機に立ち向かう
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米長官、印・パキスタンに緊張緩和要請 カシミール襲

ビジネス

日経平均は続伸で寄り付く、米株の底堅さ好感 大手ハ

ワールド

一部の関税合意は数週間以内、中国とは協議していない

ビジネス

米キャタピラー第1四半期、収益が予想下回る 関税影
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 2
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 3
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 4
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 5
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 6
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 7
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 8
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 9
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 10
    中居正広事件は「ポジティブ」な空気が生んだ...誰も…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 7
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 8
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 9
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 10
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中