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アイアンドーム

ロシアが本気になれば1000発以上の核弾頭が降ってくる...米国版「アイアンドーム構想」の実像とは

DONALD TRUMP’S IRON DOME?

2025年1月22日(水)19時04分
エリー・クック(安全保障・防衛担当)

今回の報告書によれば、ひたすらアメリカ本土を守るためにあるGBIは、SM3に加えてTHAAD(高高度防衛ミサイル)などの関連技術の全てと統合されるべきだ。

現状でアメリカはSM3を毎年12基製造しているが、それを2倍にする必要があるとスーファーは言う。

THAADは24年4月と10月にイスラエルを攻撃したイランの弾道ミサイルの撃墜に役立った。


アメリカは既にNGIを開発しており、開発担当に選ばれた防衛大手のロッキード・マーティンは、「アメリカ本土のミサイル防衛に革命を起こす」ミサイルだとしている。

同社によれば、このミサイルはイランや北朝鮮によるICBM攻撃からアメリカ本土全体を守るために設計されたものだ。

イージス艦やTHAADは降下してくるICBMを標的とするが、GBIは大気圏外を航行中のICBMに襲いかかる。ICBMを早い段階で撃ち落とすことになり、ミサイル防衛能力は格段に高まる。

SM3やGBIを使用する段階より前にICBMを迎撃する方法もいくつかある。発射の初期段階でミサイルを撃ち落とす「ブースト段階ミサイル防衛」を検討すべきだ、とスーファーは本誌に語った。

戦闘機を発射地点の近くの空中で静止させて迎撃する、あるいはドローンやレーザー兵器を同様の位置に配置するという考え方もあるが、これが有効なのは北朝鮮かイランの攻撃に対してだけだろう。

韓国にも、ひそかに開発中の対策がある。北朝鮮に核爆弾やミサイルを使用する兆候があれば彼らの核・ミサイル施設を先制攻撃するなどの「キル・チェーン」と呼ばれる複合的な戦略だ。

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