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荒川河畔の原住民⑫

日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う

2024年11月20日(水)20時00分
文・写真:趙海成

大人でも、ホームレスを極端に憎む人たちがいる。彼らはホームレスが外出しているとき、空っぽのテントに潜り込み、物や小銭を盗み、テントを滅茶苦茶にする。テントの中に人がいても気にせず、テント周辺に火をつける者までいる。

人数は多くないが、加えられる危害は大きい。被害者のホームレスとしては、どうしようもない。物が盗まれても、テントが破壊されても、放火されても、ホームレスは警察に通報しないことが多い。

なぜなら、自分たちがそこにテントを建てて住んでいること自体が違法だと知っているからだ。他人に不法侵入されたと訴えたところで、警察がホームレスのために捜査をしてくれると思えるだろうか。

警察の庇護を期待しない以上、ホームレスたちはなんとかして自分で自分を守らなければならないのだ。

一部のホームレスは、「抱団取暖」(寒いときに抱き合って体を暖め合うように、相互協力することを意味する中国語)のように、小さな集落を作り、協力して盗難を防いでいる。あるいは、2人のホームレスが大きなテントに同居し、泥棒にチャンスを与えないように、互いに外出時間をずらし合う。

また、男女のホームレスが同居生活をして、男は外に出てアルミ缶を拾ってお金を稼ぎ、女は留守番をして家事をするというケースもある。一人暮らしのホームレスでも、外出するときは、テントの中にある小さなラジオを付けっぱなしにし、音を出し続けるのが泥棒対策のコツになる。

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