監視社会も影響か、無差別殺傷事件が頻発する中国...景気減速で広がる「メンタルヘルス問題」
前出のトンプソン氏は「メンタルヘルス・サービスへのアクセスの欠如が、疎外感を抱える人々が暴力に訴える一因になっているのは間違いないが、党や政府の利益よりも個人の権利を優先的に守る独立した法制度がないため、裁判所が信頼されていないのも問題だ」と指摘した。
研究機関3ドリップス・サイコロジーのマネージングディレクター、サミ・ウォン氏によると、中国は近年、例えば新型コロナウイルスのパンデミックに起因する心理的苦痛に対応するため、メンタルヘルス・インフラへの投資を増やしてきた。
有資格のセラピストも登場しているが、精神的な問題を抱えていることが知られるとスティグマを押されるため、世界の他の地域よりも人々は助けを求めることに消極的だ。「多くの人が依然としてセラピーを受ければ白い目で見られると感じている。そのため支援制度が存在しているのに、利用を非常にためらっている」という。
