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荒川河畔の「原住民」⑪

元自衛官、米軍特殊部隊員...海外に別荘を持つ「大金持ち」からホームレスになった波乱万丈人生

2024年11月13日(水)19時55分
文・写真:趙海成

一方、兄貴はソ連の来襲に備えた日米合同軍事演習に参加したこともある。

軍事演習の際、軍曹だった彼が率いたグループの成績がとても良かったという。「敵方戦闘員」(アメリカ軍の特殊部隊)を全員捕虜にしたのだ。

そのため、兄貴は米軍のトップから名誉勲章を受けた。そして、しばらくして米国での研修チャンスがあり、米陸軍特殊部隊のグリーンベレーに入って半年訓練を受けたらしい。

兄貴の自衛隊時代の帽子

兄貴の自衛隊時代の帽子。内側に彼の名前と日付が書かれている

冷戦下、米軍グリーンベレーとして重要な任務に就いた

80年代は、米ソ間の冷戦が緊迫していた。ソ連は在日米軍の情報収集のためにスパイを派遣して日本に潜入し続けたといわれる。アメリカのCIAは、あるソ連のスパイが日本で活動していることをつかみ、その逮捕のため特殊部隊の隊員を派遣することにした。兄貴はグリーンベレー部隊の日本人隊員で、当然この任務の適任者になった。

兄貴は日本で、何度もこのような任務を達成したという。

初めてソ連のスパイを捕まえた場所は東京の六本木だった。そのソ連のスパイは大柄でたくましい巨漢だった、兄貴は、闘智闘勇(中国語の言葉で「知恵と勇気で闘う」という意味)、相手を押さえて捕まえた。

そのソ連スパイをCIAに引き渡す前、日本の公安警察に横取りされ、スパイはすぐさまソ連に送還された。アメリカ側はそれを知って怒ったが、仕方がなかった。兄貴は、日本政府内部にソ連の内通者がいるかもしれないと深く疑った。

兄貴の能力と年功を考えると、自衛隊に留まり、ステップアップすることができたに違いなかった。

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