最新記事
ウクライナ戦争

絶対に逃げられない恐怖...「ドローン」の追跡を、何とか振り切ろうとするロシア軍車両、映像公開(ウクライナ)

Russian Van Zig-Zags While Being Chased by Drone in 'Insane' Video

2023年11月19日(日)13時00分
アリス・ハイアム
軍事用ドローン

写真はイメージです Parilov/Shutterstock

<ウクライナ軍が運用する自爆ドローンが、ロシア軍の車両を追跡。撃墜も逃げ切ることも不可能な「恐怖の25秒間」>

ウクライナの自爆ドローンが、ロシア兵が乗る車両を追跡する緊迫したシーンを収めた動画がソーシャルメディアに公開され、話題となっている。兵士はこの危険な兵器から何とか逃れようと、銃で撃ち落とそうとしたり、スピードアップやハンドル操作で振り切ろうとするのだが、いずれも失敗して最後にはドローンに追いつかれてしまう。

■【動画】自爆ドローンの追跡を受けるロシア軍の車両...撃墜も逃げ切ることも不可能な「恐怖の25秒間」

FPV(一人称視点)ドローンから撮影された映像には、辺境地の道路でロシアのバンが追跡されている様子が映っている。バンに乗ったロシア兵が、ドローンを撃ち落とそうとして窓から身を乗り出している。バンが方向転換し、スピードを上げて逃げようとすると、ドローンはさらに接近。走るバンのドアの1つが開いたところで、映像は途切れている。

この映像をX(旧ツイッター)に投稿した@Osintechnicalは、「エスカドローンは、常軌を逸した映像を公開し続けている。この映像では、ウクライナのFPVがロシアのブハンカ(バン)を追いかけ、その周りを旋回している。(車に)乗っている1人が自動小銃で撃墜しようと窓から身を乗り出すが、最後には車に直撃している」

エスカドローンは2022年に設立されたウクライナの非営利団体で、FPV型の攻撃ドローンを製造している。エスカドローンという名称は、ウクライナ語で「騎兵隊」を意味する「エスカドロン」と「ドローン」を組み合わせたものだ。フォーブス誌によると、同団体は現在、ドローンを月に1500機製造しており、1台あたりの費用はわずか462ドルだという。

FPV型はレース用ドローンの一種で、エスカドローンのドローンは通常、対戦車擲弾(てきだん)など小型の武器を搭載できるように改造されている。米国製の同等モデルは6万ドルほどする。

時速95キロ、最大射程13キロ

ドローンのオペレーターは、機体の視線の先にいるターゲットの位置を特定し、追跡する能力を持つ。そのため、ターゲットが木や建物の陰に隠れたり、急旋回したりしてドローンをかわすことは難しい。

改造されたFPVドローンの中には時速95キロ以上で飛行できるものもあり、ターゲットを迎撃したり、追跡したりするための地点に素早く到達することができる。最大射程は約13キロで、大砲よりも短いが、ロシアの戦線を突破し、物資の輸送を妨害するには十分だ。

エスカドローンは他にも、ドローンオペレーターがフロントガラスから車両に正面衝突を試みたり、トラックに急なUターンをさせてから、トラックに向けて発進したりする映像を公開している。

エスカドローンの広報担当者はフォーブスに対し、「我々はウクライナの愛国者であり、ウクライナ軍が国民と国を守るのを支援したい」と語っている。「FPVドローンが安価な武器となり、多くのウクライナ兵の命を救うことができると考えた」


ニューズウィーク日本版 ジョン・レノン暗殺の真実
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年12月16日号(12月9日発売)は「ジョン・レノン暗殺の真実」特集。衝撃の事件から45年、暗殺犯が日本人ジャーナリストに語った「真相」 文・青木冨貴子

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


経営
「体が資本」を企業文化に──100年企業・尾崎建設が挑むウェルビーイング経営
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

豪中銀、予想通り政策金利据え置き 利上げ急がない姿

ビジネス

香港、IPO申請の質の維持を投資銀行に要請 上場急

ワールド

トランプ政権の風力発電プロジェクト承認停止は無効、

ビジネス

マクロスコープ:青森沖地震、懸念される経済損失 専
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...かつて偶然、撮影されていた「緊張の瞬間」
  • 4
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 5
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 6
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 7
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 8
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 9
    中国の著名エコノミストが警告、過度の景気刺激が「…
  • 10
    「1匹いたら数千匹近くに...」飲もうとしたコップの…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 7
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 8
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 9
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 10
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中