最新記事

ネパール機墜落事故

【閲覧注意】ネパール墜落事故、搭乗客のライブ配信映像が物語る恐怖の瞬間

2023年1月16日(月)17時35分
佐藤太郎
墜落したイエティ航空の旅客機

大破した旅客機と墜落現場で遺体を収容する救急隊員(1月16日、ポカラ) Rohit Giri-REUTERS

<撮影された100秒間の映像は、イエティ航空機が墜落した後、数時間のうちにSNSで瞬く間に拡散された>

1月15日(現地時間)の朝、ネパールの首都カトマンズから中部ポカラに向かっていた同国のイエティ航空の旅客機がネパール中部の観光地の近郊の渓谷に墜落。乗客72人のうち少なくとも68人が死亡するまでの数分間、乗客の1人がFacebookライブで配信を行い、機内から激しい墜落の瞬間を撮影したことが報じられている

ライブ配信を行っていた男性乗客の安否と身元は明らかになっていない。撮影された100秒間の映像は、イエティ機が墜落した後、数時間のうちにSNSで瞬く間に拡散された。

映像では、窓際の席に座っていた男性が、眼下に広がる街の景色を撮影していた。すると飛行機がコントロールを失い、彼の手からカメラが滑り落ちる。同時に他の乗客の叫び声で溢れ、スクリーンは炎で包まれた。

【動画】搭乗客のライブ配信に記録された墜落の瞬間(閲覧注意)

墜落したイエティ航空機は、ネパールの首都カトマンズから観光地ポカラまで約30分のフライトを予定していた。動機が着陸態勢に入ると激しく傾き、その様子は地上の目撃者が撮影したビデオでも確認することができる。

傾いたイエティ航空機は数秒後に峡谷に激突。現場で撮影された写真には、機体の破片が散乱しあちこちで煙が上がっている。

地元住民のビシュヌ・ティワリ氏はAP通信に対し「炎が熱くて、残骸に近づくことができなかった」と話す。「男性が助けを求め泣いているのが聞こえたのに、炎と煙がひどくて助けられなかった」

消防士、警察官、陸軍、空港救助隊員が峡谷で捜索救助活動を開始し、夜明け前まで続けられた。ネパール民間航空局によると、捜索は月曜日も続けられるという。墜落現場となったカスキ地区の上級行政官は、「峡谷のさらに下方で多くの遺体が発見されると思われる」と語った。

墜落の原因は現在調査中で、政府は事故調査委員会を設置。45日以内に報告する見通しだ。

【動画】地上から捉えた旅客機墜落の瞬間

航空会社の発表によると、乗客はネパール人53名、外国人15名(インド人5名、ロシア人4名、韓国人2名、アルゼンチン、オーストラリア、フランス、アイルランドから各1名)。少なくとも6人の子供が乗っていた。

ネパールのビディヤ・デヴィ・バンダリ大統領は「この事故に言葉を失う」と、ツイッターに投稿。「命を落とした乗客と乗組員に心からの哀悼の意を表し、遺族の方々に深くお見舞いを申し上げます」

この事故は、ポカラ空港がわずか2週間前に開港し運用を開始して以来、初の墜落事故だ。1992年に、国際航空のエアバス「A300」がカトマンズ付近の山腹に墜落し、乗っていた167人全員が死亡した1992年以来最悪の被害規模となった。

ネパールでは過去80年間に42件の飛行機事故が発生している。2013年、欧州委員会の航空安全リストは、ネパールの航空会社の欧州連合(EU)内での運航を禁止。安全基準の甘さに加え、インフラ不足、旧式の技術、予測不可能な天候などが、ネパールでの墜落事故の原因として多く指摘されている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

中国万科、債権者が社債償還延期を拒否 デフォルトリ

ワールド

トランプ氏、経済政策が中間選挙勝利につながるか確信

ビジネス

雇用統計やCPIに注目、年末控えボラティリティー上

ワールド

米ブラウン大学で銃撃、2人死亡・9人負傷 容疑者逃
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の展望。本当にトンネルは抜けたのか?
  • 2
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジアの宝石」の終焉
  • 3
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 4
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 5
    極限の筋力をつくる2つの技術とは?...真の力は「前…
  • 6
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 7
    トランプが日中の「喧嘩」に口を挟まないもっともな…
  • 8
    大成功の東京デフリンピックが、日本人をこう変えた
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 3
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 6
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 7
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 8
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 9
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 10
    首や手足、胴を切断...ツタンカーメンのミイラ調査開…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中