最新記事

空軍

ロシアの最新鋭戦闘機は怖くてウクライナ上空に飛べない──英国防省

What Are Russia's Su-57 Felon Jets? The Plane Russia Is Terrified of Losing

2023年1月10日(火)20時01分
エリー・クック

モスクワ郊外の航空ショーでデモ飛行を見せるスホーイSu-57(2019年8月27日) Maxim Shemetov-REUTERS

<「ロシアの重罪人」の異名を取る超音速ステルス戦闘機Su-57はなぜ出てこないのか>

ウクライナ侵攻を続けるロシアが、最新鋭の軍用機の一部について、ウクライナ上空に飛ぶのをためらっているという新たな分析が出た。

ロシア軍が2022年夏以降、ジェット戦闘機スホーイSu-57(NATO側のコードネームは重罪人を意味する「フェロン」)を、ウクライナ侵攻のために配備していることは「ほぼ間違いない」ものの、その飛行ミッションはロシア国内に限定されてきた可能性が高いと、イギリス国防省は1月9日に発表した最新の報告書で述べた。

代わりにロシア軍は、ロシア側から長距離ミサイルをウクライナに発射するためにSu-57を用いていると考えられるという。

このようにSu-57を国境の外に出さないという運用方針は、「ロシアの空軍運用に今回特徴的なリスク回避のアプローチを示すものだ」とし、ロシア政府はSu-57に用いられている技術がウクライナで危険にさらされる可能性を恐れていると見る。

「前線には成熟不足」

ロシア政府はまた、ステルス機能を持つこの最新鋭のジェット戦闘機に関して、自国空軍の評判が損なわれるような事態を避けたいようだと、英国防省は指摘する。

これに対しロシアのセルゲイ・ショイグ国防相は、ロシア軍がウクライナでこの戦闘機を「見事に」活用していると主張している。2022年8月には国営メディアに対し、Su-57はミサイル攻撃に加えて、「さまざまな防空システムに対する非常に高度な防御性能」を備えていると胸を張った。

イギリス国防省はSu-57を、「ロシア最新鋭の第5世代超音速ジェット戦闘機」と評している。ステルス性能を持ち、「非常に高度なアビオニクス(航空電子機器)を備えている」という。

ロシア国営メディアによると、Su-57の第1号機がロシア軍に引き渡されたのは、2020年のこと。

非営利の米政策シンクタンク、ランド研究所によると、1人乗りの双発ジェット機であるSu-57開発の意図は、アメリカ軍のF-35戦闘機に対抗する航空機の開発だったという。

イギリスの防衛関連シンクタンク、王立防衛安全保障研究所(RUSI)は2020年の分析で、Su-57について「前線兵器として信頼が置けるレベルまで成熟していない」としつつも、「可能性」を秘めたステルス戦闘機だとの見方を示していた。

2018年には、まだ開発段階だったものの、Su-57がシリア上空を飛行したことが記録されている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

再送-米、ロ産石油輸入巡り対中関税課さず 欧州の行

ワールド

米中、TikTok巡り枠組み合意 首脳が19日の電

ワールド

イスラエルのガザ市攻撃「居住できなくする目的」、国

ワールド

米英、100億ドル超の経済協定発表へ トランプ氏訪
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェイン・ジョンソンの、あまりの「激やせぶり」にネット騒然
  • 3
    腹斜筋が「発火する」自重トレーニングとは?...硬く締まった体幹は「横」で決まる【レッグレイズ編】
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    ケージを掃除中の飼い主にジャーマンシェパードがま…
  • 6
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 7
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    「この歩き方はおかしい?」幼い娘の様子に違和感...…
  • 1
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 2
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 3
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 4
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 5
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 6
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 7
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 10
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中