最新記事

ウクライナ戦争

「冬将軍はウクライナに味方する」──専門家

Russian Army Faces 3 Unique Challenges Fighting in Freezing Winter: U.K.

2022年11月17日(木)17時21分
アナ・スキナー

本格的な冬がやってくる。写真はロシア侵攻直後の3月、捕まえたロシア戦車とウクライナ兵(ハルキウ) Irina Rybakova/Press service of the Ukrainian Ground Forces/REUTERS

<ロシアはウクライナの人々を極寒地獄に追い込んで抵抗を挫こうとしているが、寒さはロシア兵にも襲いかかる>

ヨーロッパは本格的な冬を迎えつつある。厳寒期のウクライナでは、ロシア、ウクライナ両軍が苦戦を迫られることになる。寒さ以上に凍結が兵士たちを苦しめるだろう。

ロシアは寒さを武器にする戦略をとり、ウクライナ全土で電力インフラを標的にミサイル攻撃を展開している。ロシアの国営テレビに登場する軍事専門家に言わせれば、この作戦は極めて有効だ。極寒の冬に暖房が使えなければ、ウクライナ人は無駄な抵抗を続ける気力をなくすというのだ。

だが、気温低下と日照時間の短縮は、ロシア軍にとっても障害となる。日照時間が短くなると負傷兵を救出できる時間が短くなる、氷点下で兵器の不具合が起きやすくなることなど、厳冬の到来はロシア・ウクライナ両軍を手こずらせるだろう。

英国防省は11月14日朝、ツイッターの公式アカウントに厳寒期に両軍が直面する問題を詳述した情報機関のリポートを掲載した。以下はその要旨。

日照時間の短縮

「冬を迎えることで戦闘の条件は変化する。日照時間、気温、天候の変化で、前線の兵士たちはこの季節特有の困難な状況に直面することになる。ロシア参謀本部は冬の気象状況を考慮に入れてあらゆる決定を下すことになるだろう」と、リポートは述べている。

夏の間は1日15、16時間だった欧州大陸の日照時間は、平均9時間足らずになる。それにより、両軍とも支配地域拡大のための攻撃から、前線を守るための防衛へと、戦略をシフトさせることになると、リポートは指摘している。

だが米シンクタンク・戦略国際問題研究所の上級顧問、マーク・カンチアンは極寒期にも戦闘は続くとみている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、貿易協定後も「10%関税維持」 条件提

ワールド

ロシア、30日間停戦を支持 「ニュアンス」が考慮さ

ビジネス

NY外為市場=ドル、対円・ユーロで週間上昇へ 貿易

ビジネス

米国株式市場=米中協議控え小動き、トランプ氏の関税
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 2
    SNSにはトップレス姿も...ヘイリー・ビーバー、ノーパンツルックで美脚解放も「普段着」「手抜き」と酷評
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    教皇選挙(コンクラーベ)で注目...「漁師の指輪」と…
  • 5
    恥ずかしい失敗...「とんでもない服の着方」で外出し…
  • 6
    骨は本物かニセモノか?...探検家コロンブスの「遺骨…
  • 7
    「金ぴか時代」の王を目指すトランプの下、ホワイト…
  • 8
    ロシア機「Su-30」が一瞬で塵に...海上ドローンで戦…
  • 9
    ついに発見! シルクロードを結んだ「天空の都市」..…
  • 10
    「股間に顔」BLACKPINKリサ、ノーパンツルックで妖艶…
  • 1
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 2
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つの指針」とは?
  • 3
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得る? JAXA宇宙研・藤本正樹所長にとことん聞いてみた
  • 4
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 5
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 6
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 7
    古代の遺跡で「動物と一緒に埋葬」された人骨を発見.…
  • 8
    シャーロット王女とスペイン・レオノール王女は「どち…
  • 9
    野球ボールより大きい...中国の病院を訪れた女性、「…
  • 10
    SNSにはトップレス姿も...ヘイリー・ビーバー、ノー…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 6
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 7
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 8
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中