最新記事
イラン

殴りバイクでぶつかり、最後は至近距離で発砲...イラン警官、デモ参加者への非道な暴行現場

2022年11月5日(土)19時34分
デーン・エネリオ
イラン警察

テヘラン市内をバイクで走るイランの警官隊(2022年10月) WANA (West Asia News Agency) via REUTERS

<激しいデモが続くイランで、警官隊によるデモ参加者への常軌を逸した暴行の様子が撮影された。被害者の容態などは不明のままだ>

スカーフを適切に着用していなかったとして若い女性が道徳警察に拘束され、死亡した事件を受けて抗議運動が過熱しているイラン。緊迫した状況が続く首都テヘランで、警官隊がデモ参加者に激しい暴行を加える様子がビデオに収められた。

【閲覧注意】抗議者を殴る蹴る、バイクでひく、発砲する...イラン警察の残忍な暴行現場の動画

11月1日にSNSに投稿された2分強の動画には、夜の道路に横たわる男性に、12人ほどのイラン警察が襲い掛かる様子が映っている。警官たちは男性を蹴りつけ、棒で殴り、バイクでひこうとする様子も見られる。そして最後には、至近距離から男性に発砲する。アルジャジーラによれば、この銃は散弾銃と見られるという。

この男性がその後どうなったかは明らかになっていない。なおアメリカ政府が資金提供するラジオ・フリー・ヨーロッパ/ラジオ・リバティは、この動画が撮影されたのはテヘラン南部ナジ・アバド地区であることが示唆されるとしている。

イラン警察は、この事件が起きた場所や時間などを操作するとともに、関与した人物の特定を進めていると発表した。また国営メディア上で発表した声明で、「警察は暴力や非正規な行動を決して容認しておらず、違反者は規則に従って確実に法的措置を受けることになる」とした。

警察は暴行する「自由を与えられている」

一方、国際人権NGO「アムネスティ・インターナショナル」イラン支部は、国連人権理事会にこの事件の調査を要請し、「彼らは抗議者を残酷な手段で殴ったり撃ったりする自由を与えられている」と声明で述べた。

ノルウェーに本部を置く人権団体「イラン・ヒューマン・ライツ」によれば、イランで女性の死亡を受けて抗議デモが発生して以降、子供40人を含む277人が治安部隊によって命を奪われたという。拘束された人は1万4000人以上に上るとの情報もある。ただ当局はこれまで、デモ参加者の死亡について関与を否定し、外国が支援する「潜入者」や「テロリスト」によるものだと非難している。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米、ベネズエラ石油「封鎖」に当面注力 地上攻撃の可

ワールド

英仏日など、イスラエル非難の共同声明 新規入植地計

ビジネス

ロ、エクソンの「サハリン1」権益売却期限を1年延長

ビジネス

NY外為市場=円が小幅上昇、介入に警戒感
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 2
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足度100%の作品も、アジア作品が大躍進
  • 3
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...どこでも魚を養殖できる岡山理科大学の好適環境水
  • 4
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者…
  • 5
    ジョンベネ・ラムジー殺害事件に新展開 父「これま…
  • 6
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 7
    ノルウェーの海岸で金属探知機が掘り当てた、1200年…
  • 8
    ゴキブリが大量発生、カニやロブスターが減少...観測…
  • 9
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 10
    「時代劇を頼む」と言われた...岡田准一が語る、侍た…
  • 1
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 2
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 3
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 4
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 5
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 6
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 7
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 8
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 9
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 10
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中