最新記事

子育て

ここまで酷いことを...「揺さぶられっ子症候群」を再現する実験動画 「トラウマになる」

Viewers Stunned By 'Traumatizing' Demo Showing Shaken Baby Syndrome

2022年10月15日(土)14時36分
キャサリン・フェリス
泣く赤ちゃん

SolStock-iStock

<泣き止まない赤ん坊に困り果てた親が、赤ん坊を激しく揺さぶってしまうことで悲劇を起こすケースが多くみられるという>

虐待による頭部外傷に分類されている「揺さぶられっ子症候群」がどれほど深刻な問題かを示す実験動画が、インターネット上で大きな注目を集めている。TikTokアカウント@brcp_hs2に投稿された2本の動画(衝撃的な内容を含むため閲覧注意)は、合わせて700万回以上視聴されている。

■【動画】ここまで激しいものなのか...揺さぶられっ子症候群を再現する実験の様子

実験では泣いている赤ん坊に見立てた人形を学生に手渡して、揺さぶるよう指示し、どれだけ激しく揺さぶると揺さぶられっ子症候群を引き起こすかを検証した。同アカウントは視聴者に対して、動画は「恐ろしい場面を再現」したものだと警告している。

@brcp_hs2はコメント欄に、「これは学生たちに、職場で経験する可能性がある症例を理解させるための教育目的の実験です」との説明を書き込み、さらにこう続けている。「どうやってこれ(揺さぶられっ子症候群)が起きるのかを、理解させるための実験です」

ペンシルベニア州立大学の教授(神経外科・小児科)であるマーク・ディアス博士は、本誌に対して、虐待による頭部外傷の場合、被害者が床や壁などの物質表面にぶつけられた証拠がみられることが多いと述べた。「誰かが赤ん坊や子どもを、物質表面やものに激しくぶつけた場合も、激しく揺さぶったのと同じような怪我を負わせることになる」と彼は指摘した。

「赤ん坊から離れて気持ちを静める」ことが重要

このような怪我による死亡率は20~25%にのぼり、また被害者の60%は神経損傷が残り、麻痺や発作、自分で服を着たり食事をしたりできなくなるなどの後遺症に苦しむことになる。またディアスによれば、被害者の80%は行動障害などの認知機能障害を経験することになる。

ディアスは、被害者の多くは生後12カ月以内の赤ん坊で、平均年齢(月齢)は生後6~8カ月だと説明した。5歳の子どもが被害に遭うこともあるが、このようなケースは稀だという。

米国脳神経外科医協会によれば、赤ん坊は首の筋肉が弱く、自分の頭を支えることができない。「激しく揺さぶると赤ん坊の頭が前後に激しく動き、それが重篤な、場合によっては死につながる脳損傷を引き起こす」と同協会は指摘し、さらにこう続けた。「揺さぶっている際に、赤ん坊の頭が物質表面にぶつかると、さらに大きな力が加わることになる」

そして多くの場合、赤ん坊を激しく揺さぶるのは、赤ん坊への対処に困り果てた両親だ。ディアスは、泣き続ける赤ん坊を相手にどうしたらいいか分からなくなった、あるいは圧倒されてしまった場合は、赤ん坊を安全な場所に置いてその場を離れ、冷静になるべきだと指摘する。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

ガザ北部の学校に攻撃、パレスチナ人15人が死亡=保

ワールド

ドイツ国防相、600億ユーロ超への国防予算増額目指

ワールド

インドがパキスタンの「テロ拠点」攻撃、26人死亡 

ワールド

ウクライナに「テロの傾向」、モスクワ無人機攻撃で=
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つの指針」とは?
  • 2
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 3
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗と思え...できる管理職は何と言われる?
  • 4
    分かり合えなかったあの兄を、一刻も早く持ち運べる…
  • 5
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 6
    「欧州のリーダー」として再浮上? イギリスが存在感…
  • 7
    シャーロット王女とスペイン・レオノール王女は「どち…
  • 8
    中高年になったら2種類の趣味を持っておこう...経営…
  • 9
    首都は3日で陥落できるはずが...「プーチンの大誤算…
  • 10
    「関税帝」トランプが仕掛けた関税戦争の勝者は中国…
  • 1
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 2
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得る? JAXA宇宙研・藤本正樹所長にとことん聞いてみた
  • 3
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つの指針」とは?
  • 4
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 5
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    古代の遺跡で「動物と一緒に埋葬」された人骨を発見.…
  • 8
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が…
  • 9
    日々、「幸せを実感する」生活は、実はこんなに簡単…
  • 10
    シャーロット王女とスペイン・レオノール王女は「どち…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 10
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中