最新記事

爆発

クリミアでまた爆発、ウクライナ特殊部隊の奪還作戦か

Video Shows Russian Depot in Crimea on Fire After Large Explosions

2022年8月17日(水)15時57分
カレダ・バーマン

クリミアで16日に起きた爆発の煙 REUTERS

<ロシア支配下のクリミアでまた爆発が起きた。ロシア当局は「破壊工作」だとし、米メディアはウクライナの精鋭部隊の関与を指摘。ウクライナがクリミアを奪還しようとしているとすれば、戦争はますます激化しそうだ>

ロシアが2014年にウクライナから併合したクリミア半島で8月16日、相次いで爆発が発生した。ロシア当局は、弾薬庫が爆発し、2人が負傷したと伝えている。

クリミア半島北部の町、ジャンコイ地区で起きた爆発の動画は、16日の早い時間からソーシャルメディアで拡散された。

ロシアの国営通信社RIAノーボスチによると、メイスコエ村にある「部隊の1つが、弾薬の一時保管に使用していた場所」で火災が発生したと、ロシア国防省が発表したという。

「火災の結果、保管されていた弾薬が爆発した」と、国防省は伝え、重傷を負った者はおらず、火事の原因については現時点では判明していないと付け加えた。また爆発はウクライナの「破壊工作」だとしている。米ニューヨーク・タイムズは、ウクライナ軍の精鋭部隊が関与したとの見方を示している。

■爆発の動画を見る

ロシアが任命したクリミアのセルゲイ・アクショーノフ首長は、この爆発で2人が負傷したが、生命に別状はないとしている。この地域では爆発が相次いでいることから、住民に避難を促しているという。RIAノーボスチによると、ジャンコイ近郊の変電所でも火災があり、3000人が避難した。

クリミア非武装化計画

クリミアの先住民族クリミア・タタール人の指導者、レファト・チュバロフは、これらの爆発は「精度の高い爆撃」によるものだと指摘した。チェバロフはフェイスブック投稿の中で、この爆撃が「弾薬庫に着弾」し、「かなりの遠方からも爆発音が聞こえた」と書いている。

ウクライナ当局はここ数日、クリミア半島で起きたと報じられている複数の爆発について、自らの関与を肯定も否定もしていないが、ウクライナ大統領顧問のミハイロ・ポドリャクは、16日の爆発後にこうツイートした。

ウクライナ大統領顧問のミハイロ・ポドリャクは、16日の爆発後にこうツイートした。「ロシアに占領されたクリミアは、爆発が多発し、侵略者や泥棒にとっては死の危険が高い場所だ。非武装化計画が進行中だ」

16日の爆発に先立つ9日には、クリミア半島にあるロシア軍基地で立て続けに爆発が起き、ウクライナ当局によると戦闘機9機が破壊された。

【動画】露軍基地の大爆発と逃げる海水浴客

ロシア軍は、ノボフェドロフカ村近くにあるサキ地区の空軍基地で起きたこの爆発について、誤って弾薬が爆発したものだと主張した。

8月9日の爆発の前後に撮られたとされる衛星画像を比較すると、同基地に駐機していた複数の航空機が爆破されているように見える。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ロシア財務省、石油価格連動の積立制度復活へ 基準価

ワールド

台湾中銀、政策金利据え置き 成長予想引き上げも関税

ワールド

現代自、米国生産を拡大へ 関税影響で利益率目標引き

ワールド

仏で緊縮財政抗議で大規模スト、80万人参加か 学校
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、日本では定番商品「天国のようなアレ」を販売へ
  • 2
    燃え上がる「ロシア最大級の製油所」...ウクライナ軍、夜間に大規模ドローン攻撃 国境から約1300キロ
  • 3
    中国は「アメリカなしでも繁栄できる」と豪語するが...最新経済統計が示す、中国の「虚勢」の実態
  • 4
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ…
  • 5
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 6
    「何だこれは...」クルーズ船の客室に出現した「謎の…
  • 7
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「リラックスできる都市」が発…
  • 9
    中国山東省の住民が、「軍のミサイルが謎の物体を撃…
  • 10
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 3
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサイルが命中、米政府「機密扱い」の衝撃映像が公開に
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 6
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    「なんて無駄」「空飛ぶ宮殿...」パリス・ヒルトン、…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中