最新記事

野生動物

ケニアの大統領候補「ハイエナの睾丸輸出」を公約

Candidate's Plan to Export Hyena Testicles Causes Pandemic Alarm Among Vets

2022年7月6日(水)16時51分
ロビン・ホワイト

ハイエナやヘビといった野生動物は外貨獲得源にもなる? rkraan-iStock.

<漢方向けに儲けは大きそうだが、野生動物由来の製品の取引は人獣共通の新たな感染症を引き起こしかねない>

ケニアのある政治家が、ハイエナの睾丸をはじめとする野生動物由来の製品を輸出する計画を打ち出し、獣医師たちが警告を発している。「パンデミックを引き起こすおそれがある」というのだ。

8月に行われるケニア大統領選にルーツ党から立候補することを表明している弁護士で大学教員のジョージ・ワジャコヤは、野生動物由来の製品の輸出を促進する内容を含むマニフェストを発表して論争に火を付けた。

ワジャコヤは6月30日、ケニヤッタ国際会議場(KICC)で自身のマニフェストを発表した際、ハイエナの睾丸などを輸出することがケニアの経済を押し上げる可能性があると主張した。

「1000頭のオスのハイエナには、2000個の睾丸がついている。中国人は、睾丸を薬にしていると聞いた。睾丸によって、ガンジャ(大麻)よりも多くのカネを得られる可能性がある」と、ワジャコヤは述べたと、地元ケニアのニュースメディア「パルス・ライブ」は伝えた。

犬も売れる

ワジャコヤはまた、「犬は薬になる」とも主張し、大統領に当選したあかつきには、犬の肉も中国に輸出する計画だと明かした。さらに、ヘビを養殖してブラックマンバの抗毒血清を採取すれば、1瓶につき5300ドルもの外貨が獲得できると述べた。

睾丸を含む野生動物の身体部位は多くの国で違法とされているが、中国では現在も漢方薬で使用されているものがある。

ワジャコヤの提案に対して、ケニア獣医連合(UVPK)は反対を表明した。同連合が懸念しているのは、こうした野生動物の取引が人獣共通の感染症を生み、パンデミックに至る事態だ。

UPVKの事務総長を務めるミヘソ・ムレンバニ博士は、声明でこう述べている。「UVPKは、動物に危害を与える政治家の度を越した発言を懸念している。ケニアが、野生動物や野生動物由来の製品を取引できるとするワジャコヤの主張は、非常に憂慮すべきものだし非現実的だ」

「ハイエナの睾丸やヘビの取引は許可されておらず、これらの野生種の生存にとって脅威となる」と声明は述べる。「そればかりか、野生のハイエナやヘビがウイルスや細菌や寄生虫を人間に広げる危険がある」

ムレンバニは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を引き起こしたウイルスが、中国の武漢にある市場から「野生生物由来の製品の取引の結果として」生じた点を指摘した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

FBI、加州へのイラン無人機攻撃を警告 トランプ氏

ビジネス

テスラの中国製EV販売、2月は91%増 増加は4カ

ワールド

イラン軍事作戦によるガソリン高は「一時的」、トラン

ビジネス

日経平均は反落で寄り付く、原油価格の上昇が重し 一
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのミュージカル入門
特集:教養としてのミュージカル入門
2026年3月17日号(3/10発売)

社会と時代を鮮烈に描き出すミュージカル。意外にポリティカルなエンタメの「魔力」を学ぶ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」と言われる外国特派員の私が思うこと
  • 2
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃に支持が広がるのか
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開さ…
  • 5
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」…
  • 6
    「邪悪な魔女」はアメリカの歴史そのもの...歌と魔法…
  • 7
    イランがドバイ国際空港にドローン攻撃...爆発の瞬間…
  • 8
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 9
    40年以上ぶり...イスラエル戦闘機「F-35I」が、イラ…
  • 10
    ホルムズ封鎖で中国動く、イランと直接協議へ
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 3
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」と言われる外国特派員の私が思うこと
  • 4
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開さ…
  • 5
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 6
    【長期戦はイラン有利】米側の体制転覆シナリオに暗…
  • 7
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで…
  • 8
    日本の保護者は自分と同じ「大卒」の教員に敬意を示…
  • 9
    中国はイランを見捨てた? イランの「同盟国」だっ…
  • 10
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 4
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中