最新記事

米中間選挙

米中間選挙へ向けてあの極右どもが戻ってくる

MTG Role Puts Milo Yiannopoulos' Pedophilia Remarks Back in Spotlight

2022年6月8日(水)15時38分
ジュリア・カルボナーロ

新しいボスの思想信条に合わせてゲイをやめてきたヤノプルス Kevin Lamarque-REUTERS

<小児性愛をおおっぴらに肯定して社会から葬られたはずのヤノプルスがなんと米議会議事堂に戻ってきた。共和党の極右下院議員でトランプ支持者のマージョリー・グリーン・テイラーが無給のインターンとして雇ったのだ。いったい何をやらかすつもりか>

ジョージア州選出の共和党下院議員マージョリー・テイラー・グリーンは、同僚議員たちまで小児性愛支持の「グルーマー(性的動機にもとづいて子どもを誘う者)」と非難していたにもかかわらず、自身の事務所の無給インターンとして、小児性愛を容認する発言で糾弾された右派の扇動家マイロ・ヤノプルスを雇っていた。

イギリスの極右コメンテーターで、保守系ニュースサイト「ブライトバート・ニュース」のエディターだったヤノプルスは、2017年に失脚した。13歳の少年と年上の男性とのセックスについて、「人生をいいものにしてくれる」とコメントしたことがネット上に再浮上したことが原因だった。それなのにいま、グリーンがヤノプルスを自身のチームに迎え入れたことの偽善に、多くの人が気づいている。

どちらも極右だが小児性愛への意見は異なっていたはずの2人


ヤノプルスは、問題のポッドキャストでこう発言していた。「私が思うに、とりわけゲイの世界やカトリック教会の外----こういう言い方をしたい人がいるのならそう言ってもいいが----、ともかくゲイの世界ではたぶん、ひときわ重要で濃厚な、信じられないほど人生をいいものにしてくれる、重要なかたちの関係のいくつかは、多くの場合、若い少年と年上の成人男性との関係だ」「それは、きわめてポジティブな体験になりうる」

ヤノプルスはそのビデオのなかで、一部の13歳の少年は「性的に成熟している」から、その関係は小児性愛ではないと主張し、「世間は児童虐待の問題にこだわりすぎだ」と発言した。

「政府の一員」になった

ポッドキャストの司会者から、ヤノプルスによるその発言が児童への性的虐待を擁護しているように聞こえる事実を突きつけられると、ヤノプルスは次のように答えた。「これは言っておきたいのだが、わたしはマイケル神父に感謝している。うまいいフェラチオができるのは彼のおかげだ」

そうしたコメントが浮上したあとのソーシャルメディアの激流のなかで、ヤノプルスはブライトバート・ニュースを辞し、著書の出版契約を失った。だが、そのとき終わったように見えた彼のキャリアは、無給のインターンとしてではあるが、どういうわけかまた持ち直したようだ。

現在37歳のヤノプルスは2022年6月6日、自身の「テレグラム」アカウントにおいて、グリーン事務所で新たな職に就いたことを発表し、「母はいつも、私がいつか政府の一員になると言っていた!」と書いた。「ついに説得を受け入れ、引退生活から出ることにした。だが、私のスキルは少しばかり錆びついているので、私が手に入れられる最善の仕事は、友人のところの無給インターンシップだった」とヤノプルスは続けた。「幸運を祈ってくれ!」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米4月雇用17.5万人増、予想以上に鈍化 失業率3

ビジネス

為替円安、行き過ぎた動きには「ならすこと必要」=鈴

ワールド

中国、月の裏側へ無人探査機 土壌など回収へ世界初の

ビジネス

ドル152円割れ、4月の米雇用統計が市場予想下回る
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    サプリ常用は要注意、健康的な睡眠を助ける「就寝前の適切な習慣」とは?

  • 4

    「TSMC創業者」モリス・チャンが、IBM工場の買収を視…

  • 5

    元ファーストレディの「知っている人」発言...メーガ…

  • 6

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 7

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 8

    映画『オッペンハイマー』考察:核をもたらしたのち…

  • 9

    中国のコモディティ爆買い続く、 最終兵器「人民元切…

  • 10

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる4択クイズ

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 6

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 7

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 10

    メーガン妃の「限定いちごジャム」を贈られた「問題…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中