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酷暑に苦しむインド 冷房設備・電力不足が14億国民にのしかかる

2022年5月31日(火)10時24分

マバランカール氏は2013年、グジャラート州アーメダバードで、南アジア初の「猛暑対策計画(HAP)」の実施に協力した。それに先立つ2010年の熱波では、この街で1300人以上の犠牲者が出た。同氏は、HAPは毎年最大1200人の生命を救っていると語る。

低所得者層には「冷却屋根」を

HAPでは、猛暑に関する早期警報を携帯電話に送信するなどの取り組みを行っており、熱波の影響を受けやすい20数州、130カ所以上の都市・地区に拡大している。

またHAPでは、エアコンの効いた公共施設や店舗、ショッピングモール、寺院、公園など「冷房センター」で熱波をやり過ごすよう人々に勧めている。こうした場所のおかげで命が助かる人々もいる。

マバランカール氏とSE4ALLのディーン氏は、低所得層の住宅などの温度を下げるために、反射性の表面素材・塗装を行った「冷却屋根」の利用拡大をよびかけている。

マバランカール氏は、さらに暑くなる世界で貧困層や弱者が生き延びるのを支援するために、耐熱住宅の建築から緑地の拡大に至るまで、迅速な行動が必要だと語る。

「将来的には、夏の気温が3-5度上昇しても不思議はない」と彼は警告する。

「いますぐ備えなければならない」

(Annie Banerji記者、翻訳:エァクレーレン)

[ロイター]


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