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ウクライナ代表FW、スタジアムが見せた圧巻の「連帯」に涙ぐむ

2022年3月1日(火)18時35分
川口陽
ウクライナ代表FWロマン・ヤレムチュク

CL決勝ラウンド16のアヤックス戦で同点ゴールを決めたヤレムチュク(2月23日) Rodrigo Antunes-REUTERS

<途中出場したベンフィカのウクライナ代表FWロマン・ヤレムチュクに、両軍サポーターがスタンディングオーベーションで「連帯」を示す>

プリメイラ・リーガ(ポルトガル1部リーグ)第24節、ヴィトーリアSCとの試合でベンフィカのウクライナ人ストライカーが見せた表情が話題となっている。

ウクライナ代表FWロマン・ヤレムチュクは母国がロシアに侵略された数日後、リスボンのエスタディオ・ダ・ルスでピッチに立った。その日2点を決めたFWダルウィン・ヌニェスとの交代がアナウンスされると、約4万人の観客からスタンディングオベーションが起こり、ベルギー代表DFヤン・フェルトンゲンからはキャプテンマークを渡されてピッチへと迎え入れられた。

客席にはウクライナ国旗も見られ、両軍のサポーターは困難な局面にあるウクライナへの連帯を示そうと26歳のヤレムチュクに惜しみない拍手を送った。映像からはピッチに入ったヤレムチュクが唇を震わせ、涙を必死にこらえているのが分かる。

母国を離れてプレーするウクライナ人選手の多くがそうであるように、ヤレムチュクもまた母国で暮らす友人や家族のことで頭がいっぱいのはずだ。

この日の夜、ベンフィカの選手たちは青と黄色のウクライナカラーを腕にまとってスタジアムに登場する演出もしている。

こうした連帯の光景はプレミアリーグの試合でも見られた。先週土曜の試合前、マンチェスター・シティのオレクサンドル・ジンチェンコとエバートンのヴィタリー・ミコレンコが抱擁を交わし、サポーターは敵味方なく拍手を送った。

欧州サッカー連盟(UEFA)はすでにロシアに対して制裁措置をとり、今シーズンのチャンピオンズリーグ(CL)決勝の開催地をサンクトペテルブルクからパリに変更することを発表している。

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