最新記事

ペット

有能な「相棒」で「仕事仲間」、だから私は「愛犬のクローン」をつくった

I Cloned My Dog

2022年2月25日(金)17時23分
ショーン・スペリシー(ジェム・オイルCEO)
ショーン・スペリシー

子犬の頃から13年間ずっと私のそばにいるシドニー COURTESY OF ERIN MCFARLAND

<「炭鉱犬」としての貴重な才能を受け継いだ子犬たち、それぞれ個性が光るビジネスパートナーに育ってほしい>

カナダのサスカチワン州で育った私は10代の頃、父の友人でもある有名な探鉱家から手ほどきを受け、現在は地元で鉱物探査と石油生産の会社を経営している。

冬はたいてい、会社がメキシコのハリスコ州に所有している銀の採掘場に行く。そこでシドニーに出会った。生後10週間くらいの子犬で、ほかのきょうだいは毒入りの餌で処分されていた。

あれから13年。彼女はずっと私のそばにいる。

シドニーが6歳のとき、夜中に散歩をしていたら、地面の下にあるボールを嗅ぎつけて穴を掘り始めた。ボールの代わりに硫化物の臭いを教えれば探鉱ができるかもしれないと、私はひらめいた。

探鉱は飛行機で上空から地球物理学的な情報を収集し、異常なデータ、つまりニッケルや銅、金など硫化物がある可能性が見つかると、現地を歩いて調査する。私はシドニーが硫化物の臭いを嗅ぎ分けられるように訓練し、調査に連れて行くようになった。

それなりに賢い犬なら、シドニーと同じことができると思っていた。でも、それは大きな勘違いだったのだ。

シドニーはオーストラリアン・キャトル・ドッグのように見えるが、DNA検査の結果、7つ以上の犬種が混ざっていることが分かった。繁殖で第2のシドニーを誕生させることは無理そうだった。

シドニーのクローンをつくろうと考え始めたのは2018年で、当時は韓国に行くしかなかった。そして19年に、テキサス州のバイアジェンという会社を見つけた。獣医にシドニーの生検をしてもらい、組織のサンプルを作成してバイアジェンに送った。費用は5万ドル。21年の秋に1匹の子犬が私たちの元に来ることになった。

220301P59_MTN_02v2.jpg

シドニーとの運命の出会いがオリビアとフィオナ(写真)を連れてきてくれた COURTESY OF ERIN MCFARLAND

それぞれに個性や癖がある

そして21年7月9日、「子犬たち」が産まれたという連絡に、私は驚いた。

シドニー、オリビア、フィオナは遺伝子的に同じ3匹だ。シドニーは自分の特徴を子犬たちに教え込んでいるが、2匹はそれぞれ個性や癖がある。

オリビアは甘えん坊で恥ずかしがり屋。フィオナは元気が有り余ってる。体はオリビアのほうが大きく、フィオナは「普通に産まれた」子犬と比べても特に小さい。フィオナはソファに飛び乗ってクッションを放り投げる。オリビアはベッドの上が大好きだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

アップル、見通しさえず株下落 第4四半期は予想上回

ワールド

米裁判所、マスク氏訴訟の手続き保留を決定 大統領選

ワールド

北朝鮮、31日発射は最新ICBM「火星19」 最終

ワールド

原油先物、引け後2ドル超上昇 イランがイスラエル攻
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:米大統領選と日本経済
特集:米大統領選と日本経済
2024年11月 5日/2024年11月12日号(10/29発売)

トランプ vs ハリスの結果次第で日本の金利・為替・景気はここまで変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本で「粉飾倒産」する企業が増えている理由...今後はさらなる「倒産増加」が予想される
  • 2
    「まるで睾丸」ケイト・ベッキンセールのコルセットドレスにネット震撼...「破裂しそう」と話題に
  • 3
    幻のドレス再び? 「青と黒」「白と金」論争に終止符を打つ「本当の色」とは
  • 4
    脱北者約200人がウクライナ義勇軍に参加を希望 全員…
  • 5
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 6
    北朝鮮軍とロシア軍「悪夢のコラボ」の本当の目的は…
  • 7
    天文学者が肉眼で見たオーロラは失望の連続、カメラ…
  • 8
    中国が仕掛ける「沖縄と台湾をめぐる認知戦」流布さ…
  • 9
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大き…
  • 10
    自爆型ドローン「スイッチブレード」がロシアの防空…
  • 1
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 2
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴出! 屈辱動画がウクライナで拡散中
  • 3
    キャンピングカーに住んで半年「月40万円の節約に」全長10メートルの生活の魅力を語る
  • 4
    幻のドレス再び? 「青と黒」「白と金」論争に終止符…
  • 5
    2027年で製造「禁止」に...蛍光灯がなくなったら一体…
  • 6
    【クイズ】次のうち、和製英語ではないものはどれ?…
  • 7
    世界がいよいよ「中国を見捨てる」?...デフレ習近平…
  • 8
    日本で「粉飾倒産」する企業が増えている理由...今後…
  • 9
    「決して真似しないで」...マッターホルン山頂「細す…
  • 10
    【衝撃映像】イスラエル軍のミサイルが着弾する瞬間…
  • 1
    ベッツが語る大谷翔平の素顔「ショウは普通の男」「自由がないのは気の毒」「野球は超人的」
  • 2
    「地球が作り得る最大のハリケーン」が間もなくフロリダ上陸、「避難しなければ死ぬ」レベル
  • 3
    秋の夜長に...「紫金山・アトラス彗星」が8万年ぶりに大接近、肉眼でも観測可能
  • 4
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大き…
  • 5
    死亡リスクはロシア民族兵の4倍...ロシア軍に参加の…
  • 6
    大破した車の写真も...FPVドローンから逃げるロシア…
  • 7
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 8
    韓国著作権団体、ノーベル賞受賞の韓江に教科書掲載料…
  • 9
    エジプト「叫ぶ女性ミイラ」の謎解明...最新技術が明…
  • 10
    コストコの人気ケーキに驚きの発見...中に入っていた…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中