最新記事

人体

人体に新たな部位が発見される アゴの筋肉の奥に、未知の第3層

2022年1月12日(水)17時30分
青葉やまと

さらに時代を経て2000年代前半になると、いくつかの研究が3層構造を指摘しはじめるようになる。だが、これらはいずれも表層を2つの層に分けて捉え直す内容であり、「咬筋の筋突起部」とは別のものであった。新たに発見された第3の層の存在と位置を正確に指摘したのは、今回の研究が初となる。

研究チームは、「いくつかの既存のテキストは3層目が存在する可能性に触れていますが、その位置に関しては非常に不正確でした」と指摘している。メゼイ博士らが研究に踏み切った背景には、資料によって矛盾するこうした説明の真相を突き止めたいという思いがあったという。

人体に眠っていた未知の部位

研究により、入念に研究が行われてきた人体の、それも顎という身近な部位において、新たな筋肉の層が示される形となった。ベゼル大学はツイートを通じて研究を紹介し、「人体構造はいまだに、私たちを驚かせるようなサプライズをいくつか秘めています」とコメントしている。

研究に参加したバーゼル大学のイェンス・クリストフ・トゥルプ教授は、「過去100年間で解剖学の研究は徹底的にされ尽くしたと一般に考えられているなか、私たちの発見はいわば、動物学者が新たな脊椎動物を発見したようなものです」と語り、研究の成果に自信を示す。

米技術解説誌のインタレスト・エンジニアリングは今回の発見を取り上げ、「何年もかけて解剖学の授業をしていることを考えると、未知の器官や筋肉などが発見されることはいささか奇妙に思えるかもしれない。しかし、こうしたことはめずらしくないのだ」と述べ、2020年には頭の深部に未知の唾液腺が発見されたと紹介している。人体にはさらに知られざる器官が眠っており、今後も発見が続く可能性がありそうだ。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

米経済下振れリスク後退は利上げ再開を意味、政策調整

ワールド

イスラエル、ヨルダン川西岸で新たな軍事作戦 過激派

ビジネス

S&P、ステーブルコインのテザーを格下げ 情報開示

ビジネス

アサヒGHD、12月期決算発表を延期 来年2月まで
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 3
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 4
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 5
    7歳の娘の「スマホの検索履歴」で見つかった「衝撃の…
  • 6
    がん患者の歯のX線画像に映った「真っ黒な空洞」...…
  • 7
    ミッキーマウスの著作権は切れている...それでも企業…
  • 8
    あなたは何歳?...医師が警告する「感情の老化」、簡…
  • 9
    ウクライナ降伏にも等しい「28項目の和平案」の裏に…
  • 10
    【クイズ】世界で1番「がん」になる人の割合が高い国…
  • 1
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 2
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 5
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 6
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 7
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 8
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 9
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ…
  • 10
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中