最新記事

東南アジア

ASEAN、首脳会議へのミャンマー軍司令官参加拒否 緊急外相会議で合意

2021年10月16日(土)18時54分
大塚智彦
ミャンマー軍政トップのミン・アウン・フライン国軍司令官

ASEANからも「NO」を突きつけられたミャンマー軍政トップのミン・アウン・フライン国軍司令官 Jorge Silva - REUTERS

<内政不干渉の原則をもつASEANだが、膠着状態打開に強力なカードを切った──>

東南アジア諸国連合(ASEAN)は10月15日、オンラインで開催した緊急外相会議で、月末に開かれるASEAN首脳会議にミャンマーの軍政トップであるミン・アウン・フライン国軍司令官の参加を認めないことで合意した。ASEAN議長国であるブルネイが16日に声明を発表して合意を明らかにした。

合意内容に関して今後ミャンマー側の反発がさらに強まり、ASEANによるミャンマー問題への仲介・調停が一層困難に直面する可能性が高くなった。

ブルネイによると外相会議では満場一致でミン・アウン・フライン国軍司令官の10月26日のASEAN首脳会議への参加を認めず、その代理として政治色のない非政治的代表の参加に関しては認めることでも合意したとしている。

この「政治色の薄い人物」は外務省関係者などを想定しているとみられるが、ミャンマー側がこの合意を受け入れるかどうかについては現段階では明らかになっていない。

今回の合意に至った背景にはミャンマー問題解決の道筋を見出すために特使を派遣し、滞在中にアウン・サン・スー・チー氏を含めた全ての関係者との話し合いを実現したいASEAN側に対して、軍政が「(スー・チー氏のような)刑事裁判の被告との面会を認める国などない」と強く反発。訪問は延期され交渉が暗礁に乗り上げていたという経緯がある。

4月の会議での5項目合意履行を要求

これまでASEAN側は、4月24日にインドネシア・ジャカルタで開催された臨時首脳会議で合意された5項目の早期履行を求め続けてきた。

この時の首脳会議にはミン・アウン・フライン国軍司令官がミャンマーを代表する「首脳格」として参加。会議で協議された身柄を拘束されているスー・チー氏の「即時釈放」は合意に盛り込むことができなかった経緯がある。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

独がイスラエルへの軍用品輸出停止、ガザ方針に反発 

ビジネス

中国、ドイツ最大貿易相手国に復帰の公算 独対米輸出

ビジネス

中国の花形バンカー、2年半ぶり釈放 華興資本の包凡

ワールド

イスラエルのガザ全域軍事支配、国連「即時中止を」
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
2025年8月12日/2025年8月19日号(8/ 5発売)

現代日本に息づく戦争と復興と繁栄の時代を、ニューズウィークはこう伝えた

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの母子に遭遇したハイカーが見せた「完璧な対応」映像にネット騒然
  • 2
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を呼びかけ ライオンのエサに
  • 3
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大ベビー」の姿にSNS震撼「ほぼ幼児では?」
  • 4
    【クイズ】次のうち、「軍用機の保有数」で世界トッ…
  • 5
    職場のメンタル不調の9割を占める「適応障害」とは何…
  • 6
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
  • 7
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医…
  • 8
    バーボンの本場にウイスキー不況、トランプ関税がと…
  • 9
    経済制裁下でもロシア富豪はますます肥え太っていた…
  • 10
    イラッとすることを言われたとき、「本当に頭のいい…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を呼びかけ ライオンのエサに
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 6
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 7
    日本人の児童買春ツアーに外務省が異例の警告
  • 8
    メーガンとキャサリン、それぞれに向けていたエリザ…
  • 9
    こんなにも違った...「本物のスター・ウォーズ」をデ…
  • 10
    カムチャツカも東日本もスマトラ島沖も──史上最大級…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 4
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 5
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 10
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中