最新記事

ハイチ

大統領暗殺で揺れるハイチ 後任はコロナ死でさらに混迷

Haiti's Chief Justice Died from COVID-19 Days Before Moïse's Assassination

2021年7月9日(金)17時21分
レベッカ・クラッパー
暗殺されたハイチのモイーズ大統領

モイーズは自らの権限を拡大する憲法改正を推し進め野党や国民の反発に直面していた REUTERS/Andres Martinez Casares

<首相が2人いる上、憲法で定められた大統領後任の最高裁長官は死去していた>

カリブ海の島国ハイチでは、7月7日に暗殺されたジョブネル・モイーズ大統領の後任選びをめぐって混乱が深まっている。憲法に従えば最高裁長官が後任に就任することになるが、彼はモイーズの暗殺前に新型コロナウイルス感染症で死亡している。

現在はクロード・ジョセフ暫定首相が国を率いているが、モイーズは暗殺される前日に、彼の後任としてアリエル・アンリを指名していた。アンリはAP通信に対して、現在の首相は自分だが紛らわしい状況にあると述べた。

モイーズに対しては、自らの権限を強化しようとしているという批判の声が高まっており、野党が彼に辞任を求めるなど、存命中からハイチの混乱は始まっていた。その彼が暗殺され、誰が後任になるのかは不透明なままだ。

以下はAP通信の報道だ。

実行犯は「高度な訓練を受けた重武装集団」

既にさまざまな問題や混乱に直面してきたハイチが、モイーズが銃撃されて死亡したことで、ますます不透明な未来に直面している。当局はモイーズを襲撃した容疑者4人を殺害し、2人の身柄を拘束したと発表。人質となっていた警察官3人は解放されたという。

7日未明、モイーズは私邸にいたところを襲撃され、銃で撃たれて死亡した。マルティーヌ・モイーズ大統領夫人も撃たれて重傷を負い、治療のために米フロリダ州マイアミに搬送された。当局は、襲撃の実行犯全員を見つけると誓った。

ハイチ国家警察のレオン・シャルル長官は7日夜、複数の容疑者の身柄を拘束したことを発表したなかで、「(襲撃を実行した)傭兵たちの追跡は今後も続く」と述べ、こう続けた。「彼らの運命は決まっている。戦うか、捕まるかだ」

警察は容疑者たちの年齢や氏名、国籍を明かさず、彼らの動機や、いかにして容疑者たちにたどり着いたのかについて明らかにしていない。大統領夫妻の襲撃について唯一明かしたのは、実行犯が「高度な訓練を受けた重武装集団」であり、複数のメンバーがスペイン語または英語を話していたということだ(その後のCNNの報道によると、2人はアメリカ人だった)。

ジョセフは警察と軍の支援を得て国の指揮を執り、2週間の「封鎖状態」を宣言した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

「今後の首脳外交の基礎固めになった」と高市首相、一

ワールド

アングル:米政界の私的チャット流出、トランプ氏の言

ワールド

再送-カナダはヘビー級国家、オンタリオ州首相 ブル

ワールド

北朝鮮、非核化は「夢物語」と反発 中韓首脳会談控え
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 5
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 6
    【クイズ】12名が死亡...世界で「最も死者数が多い」…
  • 7
    海に響き渡る轟音...「5000頭のアレ」が一斉に大移動…
  • 8
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 9
    必要な証拠の95%を確保していたのに...中国のスパイ…
  • 10
    【ロシア】本当に「時代遅れの兵器」か?「冷戦の亡…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 6
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 7
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した…
  • 8
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 9
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 10
    熊本、東京、千葉...で相次ぐ懸念 「土地の買収=水…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ…
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 8
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 9
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中