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中国・雲南省の鉱山、過去にコウモリのふん除去で3人死亡 コロナ起源探しで注目

2021年6月14日(月)12時35分

注目される理由

昨年半ば以降、Li氏の論文がインターネット上で広がり、新型コロナウイルスに非常によく似たコロナウイルスが12年初めの時点でヒトに感染していたことを示す証拠とされている。

この論文は、武漢ウイルス研究所が「RaTG13」など墨江の鉱山で見つけたウイルスについて機能獲得実験(毒性や感染力を高めるための研究)を行っていたとする、広く流布している疑惑を裏付ける状況証拠だと信じる人々もいる。

石氏などが20年2月初旬に公表した論文によると、RaTG13が最初に見つかったのは16年で、遺伝子配列が新型コロナウイルスと96.2%共通している。この論文が発表されたのは、武漢で最初に新型コロナウイルス感染症が特定されたわずか数週間後のことだ。

他のウイルスも見つかったのか

武漢ウイルス研究所の研究者は12年から15年にかけて、この鉱山とその周辺で293種類ものコロナウイルスを発見した。

同研究所は昨年11月、この場所から採取した8種類の「SARS型」コロナウイルスの存在を明らかにした。

石氏ら研究者は先月の査読前の論文で、この8種類のウイルスの中にRaTG13よりも新型コロナウイルスに近いものはなかったと指摘した。重要なことは、この8種類のウイルスはいずれも、新型コロナウイルスが効率的にヒトへ感染する鍵となる受容体結合ドメイン持っていなかったということだ。

論文は、新型コロナウイルスが武漢ウイルス研究所から流出したという主張を裏付ける「実験的証拠」はないと結論付け、新型コロナウイルス感染症の世界的流行の発生源をより深く理解するためには、「コウモリやセンザンコウなど中間宿主と考えられる動物を、より体系的、長期的にサンプリングする必要がある」と訴えている。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

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