最新記事

臓器提供

9歳の少年が落雷で死亡...臓器提供で3人の命を救い、哀悼の意と称賛が集まる

9-Year-Old Boy Killed by Lightning Strike, Has Organs Donated to Three Children

2021年5月15日(土)15時56分
カシュミラ・ガンダー
落雷で亡くなった少年ジョーダン・バンクス

ジョーダン(中央)を失う悲しみは言葉では言い表せないと父親のマットは語った Facebook

<悲劇的な事故で亡くなったサッカー少年への哀悼がリバプールFCなどからも届き、他人を思いやる行動への賛辞も寄せられている>

5月11日、イギリス中部の港町ブラックプールで、9歳の少年が落雷を受けて命を落とした。警察によると、ジョーダン・バンクス少年はサッカー場で落雷を受けて搬送された病院で息を引き取ったという。

そのジョーダン君に、哀悼の意と共に称賛の声が寄せられている。彼の臓器が提供され、移植によって3人の子供の命を救ったことが明らかになったからだ。イングランドでは、両親や保護者の同意があれば子供も臓器のドナーになれる。

父親のマット・バンクスが別のフェイスブックユーザーを通じて公開した声明は、彼の息子は「これまでも今も、最も寛大な心を持った最も素晴らしい子供であり、誰かのために何でもやれる子供だった」としている。

「今もなお、彼の優しさは別の3人の子供が生き続ける助けになっている。いつも彼は他の誰かの助けになりたいと語っており、それがドナーになることであればそうしたいと希望していたので、それに従って臓器を提供した」

マット・バンクスの声明は、彼ら父子の写真とともに公開された。「この悲しみを言葉で言い表すのは無理だ。子供を失ったというだけでなく、最高の小さな親友を失ってしまった」「僕らは座って何時間も彼の将来について話し込んだ。彼は僕が何と呼ばれたがっているかを聞いてきて、それで僕らは『パピ』という呼び名にしようと決めたんだ」

ファンだったリバプールFCからメッセージ

クリフトン・レンジャーズ・ジュニア・フットボール・クラブでプレーするサッカー少年だったジョーダンへの賛辞の声は、彼が大ファンだったリバプールFCからも寄せられた。またリバプールの選手たちは、13日の試合前練習で全員が「ジョーダン」という名前と、彼のクラブでの背番号だった7番が付いたユニフォームを着用した。

また英下院議員のナイジェル・エバンスは議会で「議長及び英国議会を代表し、彼の家族とクリフトン・レンジャーズ・ジュニア・フットボール・クラブのすべてのチームメイト、彼のすべての友人に哀悼の意を表したい。英国議会の心と愛を、あなた方すべてに送ります」と語った。

警察が発表したジョーダンの家族の声明は次のものだった。「昨日、私たちの世界は止まりました。私たちの美しい少年ジョーダンという最も輝かしい星を失いました。彼の笑い声、他の人まで笑顔にさせる笑い顔、金色のカールした髪の毛。彼は私たちのすべてでした。年齢よりも賢く、優しく、思いやりがあり、寛大で、愛情深かった」

「私たちの愛は永遠です。おやすみなさい、美しい少年」

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

EUが2兆ユーロの次期7カ年予算案提示、防衛と競争

ビジネス

再送米経済活動は小幅拡大、物価は上昇 見通しやや悲

ワールド

イラク・クルド自治区の油田にドローン攻撃、施設損傷

ビジネス

再送-〔アングル〕円安への備え進むオプション市場、
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 2
    アメリカで「地熱発電革命」が起きている...来年夏にも送電開始「驚きの発電法」とは?
  • 3
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長だけ追い求め「失われた数百年」到来か?
  • 4
    ネグレクトされ再び施設へ戻された14歳のチワワ、最…
  • 5
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パス…
  • 6
    「巨大なヘラジカ」が車と衝突し死亡、側溝に「遺さ…
  • 7
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 8
    約3万人のオーディションで抜擢...ドラマ版『ハリー…
  • 9
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失…
  • 10
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 1
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 2
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 3
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首」に予想外のものが...救出劇が話題
  • 4
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 5
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 6
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 7
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パス…
  • 8
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「…
  • 9
    イギリスの鉄道、東京メトロが運営したらどうなる?
  • 10
    アメリカで「地熱発電革命」が起きている...来年夏に…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 7
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 8
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 9
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
  • 10
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中