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【ミャンマールポ】現地報道もデモも、国軍の「さじ加減」で消されている

An Ominous Silence

2021年4月28日(水)11時30分
ニューズウィーク日本版編集部
3本指で反独裁の意思を示すミャンマーの人々(4月18日、南部ダウェイ)

3本指で反独裁の意思を示す(4月18日、南部ダウェイ) REUTERS

<日本人ジャーナリストの北角裕樹氏が訴追されたが、多くの人はそれほど驚かなかった。多くのミャンマー人が彼と同じように、あるいは彼以上に危険を顧みずに行動し、拘束されている。徹底弾圧の過去は繰り返されるのか>

ミャンマー(ビルマ)では本来、4月になると人々はソワソワと浮かれ始める。1年で最も騒がしい水祭りダジャンの季節だからだ。この時ばかりはお清めのため、とにかく水を掛けられてしまう。

昨年はコロナの影響で政府から厳しい自粛が言い渡され、街は驚くほど静かだった。あれだけ楽しみにしていた水祭りを自粛してでも、コロナを封じ込めようという人々の連帯感には感動を覚えたものだ。

「きっと来年は鬱憤を晴らすかのように盛大にやるんだろうな」。そんなことを考えていたのを思い出す。

今年、水祭りを自粛せよとのお達しはない。しかし、多くの国民は静かにその時期を過ごした。国軍のクーデター発生以来、700人以上に達した犠牲者へ静かに祈りをささげるために。

「日本人ジャーナリスト北角(きたずみ)裕樹氏が国軍により拘束」。その速報はわれわれの元に驚くほど早い段階で入ってきた。しかし、恐らく多くの人がそれほど驚かなかった。実際、私も「まさか」とは全く思わなかった。彼の活動は多くの日本人のみならず、それ以上の数のミャンマー人が知るところだったからである。

彼のこれまでの報道姿勢やソーシャルメディアでの発言にはさまざまな意見もある。ただ多くのミャンマー人が、日本人である彼がミャンマーのためにいま起こっている出来事をつぶさに発信してきたことに感謝している。そして彼は批判が来ることも、場合によっては迷惑を掛けてしまうことも、もちろん自分の身の危険も全て覚悟していたであろうことは想像に難くない。

さらに、多くのミャンマー人が彼と同じように、もしくは彼以上に危険を顧みず真実を報道し続け、軍によって拘束され、場合によっては命を奪われている。

「嘘のニュースを流した疑い」が発表された訴追内容である。最長3年の実刑。外国人は刑に服した後で国外退去になる。当然ブラックリストに載り、二度と入国できない。これが今のミャンマーのルールであり、法なのだ。

唯一の救いは、彼が公開で捕まったことかもしれない。ミャンマー人で「闇に葬られた」人も少なくない。拘束されながら、いまだに具体的な数字として表れてきていない人々のことである。現状、戒厳令下で捕まった人間は上訴が認められない軍法裁判にかけられる。軍法裁判とは、本来罪を犯した軍人がかけられるものではなかったか。

北角氏が捕まったのは戒厳令下ではない管区で、今のところ正式裁判が行われる予定だ。しかし、それもいつ覆るかは分からない。全ては「向こう」のさじ加減一つなのだ。

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