最新記事

ロシア

ロシア反体制派指導者ナワリヌイ、帰国直後に拘束 

2021年1月18日(月)09時05分

昨年8月の毒殺未遂事件後、ドイツで療養していたロシアの反体制派指導者ナワリヌイ氏(写真中央)が帰国した直後に空港で当局に拘束された。モスクワのシェレメチェボ空港で撮影。動画より(2021年 ロイター/Reuters TV)

昨年8月の毒殺未遂事件後、ドイツで療養していたロシアの反体制派指導者ナワリヌイ氏(44)が17日、帰国した直後に空港で当局に拘束された。同氏は、執行猶予の条件に違反したとして3年半の禁固刑に処される可能性がある。

ナワリヌイ氏の拘束を欧米諸国は非難し、即時釈放を求めている。

反プーチン大統領派の中心人物であるナワリヌイ氏は昨年8月、ロシア国内線の機内で倒れ、ドイツに搬送され治療を受けた。ドイツなど西側諸国は神経剤による毒殺未遂としており、ナワリヌイ氏はプーチン大統領が毒殺計画に関与したと主張しているが、ロシア政府は関与を否定している。

ナワリヌイ氏が先週、ドイツから帰国する考えを明らかにした後、ロシアの連邦刑務所局(FSIN)は同氏を拘束すると表明していた。

同氏は17日、ロシアの航空会社ポベダの便で、妻や弁護士らとベルリンからモスクワに向かった。機内では同行する記者らに対し、何も恐れておらず、自分が拘束されると考えていないと語っていた。

だが、同氏を乗せた航空機は到着直前に技術的な理由で到着先をモスクワの別空港に変更。同氏を出迎える記者や大勢の支持者をかわすために当局が働き掛けたとみられる。

到着した空港の入国審査場で、ナワリヌイ氏は警官4人に同行を求められ、これに応じた。理由の説明はなかった。

FSINはその後の声明で、執行猶予の条件に違反したため、ナワリヌイ氏を拘束したと発表。執行猶予を実刑に切り替えるかどうかを判断する今月の法廷審問まで身柄を拘束するとした。

米国のバイデン次期政権で安全保障担当の大統領補佐官に就くジェイク・サリバン氏はツイッターで、「ナワリヌイ氏を直ちに釈放すべきだ。彼の命を狙った凶悪事件の犯人は責任を問われるべきだ」と投稿した。

また、欧州連合(EU)のミシェル大統領もナワリヌイ氏の即時釈放を要求。EU加盟国のリトアニアは17日、ロシアに対する新たな制裁をすぐに科すようEUに要請すると表明した。



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・新型コロナが重症化してしまう人に不足していた「ビタミン」の正体
・世界の引っ越したい国人気ランキング、日本は2位、1位は...



ニューズウィーク日本版 日本時代劇の挑戦
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年12月9日号(12月2日発売)は「日本時代劇の挑戦」特集。『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』 ……世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』/岡田准一 ロングインタビュー

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

主要国・地域の25年成長率見通し上げ、AIブームで

ワールド

ロシア船籍タンカーにドローン攻撃、トルコ沖で 乗組

ビジネス

英中銀、銀行の自己資本比率要件を1%引き下げ 経済

ワールド

香港、火災調査で独立委設置へ 死者156人・30人
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    大気質指数200超え!テヘランのスモッグは「殺人レベル」、最悪の環境危機の原因とは?
  • 2
    「世界一幸せな国」フィンランドの今...ノキアの携帯終了、戦争で観光業打撃、福祉費用が削減へ
  • 3
    トランプ支持率がさらに低迷、保守地盤でも民主党が猛追
  • 4
    【クイズ】1位は北海道で圧倒的...日本で2番目に「カ…
  • 5
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 6
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 7
    海底ケーブルを守れ──NATOが導入する新型水中ドロー…
  • 8
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 9
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 10
    中国の「かんしゃく外交」に日本は屈するな──冷静に…
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 3
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 4
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体…
  • 5
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 6
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 7
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 8
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 9
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 10
    子どもより高齢者を優遇する政府...世代間格差は5倍…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中