最新記事

2020米大統領選

「イランとロシアが米大統領選介入を試み」 米情報機関トップが緊急発表

2020年10月22日(木)18時03分

ラットクリフ米国家情報長官は21日、ロシアとイランが今年の米大統領選への介入を試みたとの見解を示した。写真は9月の第1回討論会(2020年 ロイター/Brian Snyder)

トクリフ米国家情報長官は21日、ロシアとイランが今年の米大統領選への介入を試みたとの見解を示した。

長官は急きょ開いた記者会見で、「一部の有権者登録情報をイランとロシアが別々に入手したと確認した」と述べた。会見には米連邦捜査局(FBI)のレイ長官も同席した。

米国の有権者登録情報は大半が公開されている。ラトクリフ氏は、「イランが有権者を怖がらせ、社会的混乱をあおり、トランプ大統領にダメージを与えるためのなりすましメールを送っている」ことが米当局によって既に確認されたと続けた。

大統領選まで残り2週間というタイミングでの今回の発表は、海外の勢力が選挙プロセスへの米国民の信頼を損ね、偽情報の拡散を通じて選挙結果に影響を与えようと試みることへの米当局の強い警戒感を物語っている。

政府筋によると、21日に親トランプの団体「プラウド・ボーイズ」になりすましたメールが送られており、ラトクリフ氏はこれに言及していたという。

米情報機関はこれまで、イランがトランプ氏を不利にする目的で、ロシアはトランプ氏を有利にするために、それぞれ大統領選に介入する可能性があると警戒してきた。

外部専門家は、ラトクリフ氏の情報が正しければ、イランは、時に暴力的ともされるプラウド・ボーイズによる脅迫とトランプ氏支持に関心を向けることでトランプ氏のイメージ悪化を狙っているとみられると指摘した。

イラン国連代表部のミールユーセフィー報道官は文書で「イランは米選挙介入に関心はなく、結果に関して好悪もない」と表明した。

米民主党の上院トップ、シューマー院内総務はMSNBCのインタビューで、イランがトランプ氏へのダメージを狙ったというラトクリフ氏の見解には同意できないと述べた。「イランとロシアの意図は米選挙の信頼性に傷を付けるというもので、今回の事例がトランプ大統領の評判を落とす狙いがあったとは思わない」と述べた。

情報機関の関係筋は、問題のメールについての調査は進行中で、誰が関与しているかはまだ不明だと明かした。

別の政府筋は、米当局はイランにいる何者かがプラウド・ボーイズのシステムあるいはウェブサイトに不正侵入し、脅迫的な素材を拡散したかどうかについて調査していると述べた。イラン政府の関与が疑われているが、決定的な証拠はないという。

一部のメールには偽の投票用紙の提出が可能との情報を流している動画が含まれている。専門家やラトクリフ氏はこの情報は虚偽であるとしている。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・強行退院したトランプが直面する「ウィズ・コロナ選挙戦」の難題
・巨大クルーズ船の密室で横行する性暴力


ニューズウィーク日本版 世界が尊敬する日本の小説36
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年9月16日/23日号(9月9日発売)は「世界が尊敬する日本の小説36」特集。優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

FRB利下げ「良い第一歩」、幅広い合意= ハセット

ビジネス

米新規失業保険申請、3.3万件減の23.1万件 予

ビジネス

英中銀が金利据え置き、量的引き締めペース縮小 長期

ワールド

台湾中銀、政策金利据え置き 成長予想引き上げも関税
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、日本では定番商品「天国のようなアレ」を販売へ
  • 2
    中国は「アメリカなしでも繁栄できる」と豪語するが...最新経済統計が示す、中国の「虚勢」の実態
  • 3
    燃え上がる「ロシア最大級の製油所」...ウクライナ軍、夜間に大規模ドローン攻撃 国境から約1300キロ
  • 4
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ…
  • 5
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 6
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 7
    【クイズ】世界で最も「リラックスできる都市」が発…
  • 8
    中国山東省の住民が、「軍のミサイルが謎の物体を撃…
  • 9
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 10
    中国経済をむしばむ「内巻」現象とは?
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 3
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサイルが命中、米政府「機密扱い」の衝撃映像が公開に
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 6
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    「なんて無駄」「空飛ぶ宮殿...」パリス・ヒルトン、…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中