最新記事

米台関係

台湾世論「トランプの方がバイデンよりマシ」な理由とは?

Taiwan Distrusts Trump, But Think Country Would Benefit Less From Biden

2020年10月16日(金)15時13分
ジョン・フェン

トランプは信用できないけどバイデン(写真)は頼りない? Tom Brenner-REUTERS

<バイデンは中国に弱腰の印象だからいや、しかし米国からの武器購入も支持できない複雑な情勢>

台湾市民は米大統領選についてどのような考えを持っているのか。9月に実施された世論調査では、回答者の60%近くがドナルド・トランプ現大統領を「信用できない」と回答。だが一方で、民主党のジョー・バイデン候補が勝利するよりもトランプが再選された方が、台湾にとっては利益になると考えていることが分かった。

どちらの候補が勝利するかの予想でも、台湾市民が軍配を上げたのはトランプの方だった。トランプ勝利を予想した人は全体の49.1%。これに対して、バイデンが勝利しトランプの再選を阻むと予想した人はわずか23.7%だった。

台湾のニュースサイト「フォルモサ(Formosa)」と総合誌「遠見雑誌」が9月に実施したこの世論調査は、主に蔡英文総統による米国産牛肉・豚肉の輸入規制緩和計画に重点を置いた内容だったが、中台間の緊張に関する質問も含まれていた。

フォルモサは9月23日から24日にかけて、20歳(台湾の選挙権年齢)以上の1070人を対象に、コンピューターシステムを利用した電話調査を実施。遠見雑誌も同じ調査方法を用いて、9月17日から20日にかけて1102人を対象に調査を実施した。

武器購入「支持」は4割以下

遠見雑誌の調査では、台湾と中国の間で全面戦争が勃発した場合でも、アメリカによる介入を期待すると回答した人は22.3%のみ。過半数の54.2%が、中国政府との和平交渉の道を選んだ。

20~29歳の回答者では、半数以上が蔡政権によるアメリカからの武器購入を支持すると表明。だが回答者全体では、台湾がアメリカから購入した武器で軍備強化を行う必要があると考えている人は39.1%にとどまり、51.6%の回答者は、その資金をインフラ整備に回した方が有益だという考えだった。

国防費に関する回答がどっちつかずだった一方で、台湾海峡で軍事衝突が勃発した場合については、アメリカが台湾を支援してくれると予想している人が回答者の57.7%、日本が支援してくれると予想している人が45.9%にのぼったと遠見雑誌は報告している。

フォルモサの調査では、トランプ米大統領を信用している台湾市民が25.2%しかいないという結果が示された。回答者の59.2%が「トランプは信用できない」と回答。「わからない」と答えた人は15.5%だった。

トランプの信用度を疑う傾向がある一方で、遠見雑誌の調査では、トランプの再選は台湾の利益になると考えている人が回答者の53%にのぼった。一方でバイデンが大統領になった方が台湾にとって都合がいいと回答した人は、回答者のわずか16.4%だった。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

北朝鮮が戦略巡航ミサイル、「超大型弾頭」試験 国営

ビジネス

利上げの可能性、物価上昇継続なら「非常に高い」=日

ワールド

アングル:ホームレス化の危機にAIが救いの手、米自

ワールド

アングル:印総選挙、LGBTQ活動家は失望 同性婚
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ公式」とは?...順番に当てはめるだけで論理的な文章に

  • 3

    便利なキャッシュレス社会で、忘れられていること

  • 4

    「韓国少子化のなぜ?」失業率2.7%、ジニ係数は0.32…

  • 5

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 6

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 7

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離…

  • 8

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 9

    毎日どこで何してる? 首輪のカメラが記録した猫目…

  • 10

    ネット時代の子供の間で広がっている「ポップコーン…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人機やミサイルとイスラエルの「アイアンドーム」が乱れ飛んだ中東の夜間映像

  • 4

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 5

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 8

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 9

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 10

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中