最新記事

K-POP

韓国BTSの朝鮮戦争めぐる発言で中国ネット民が大炎上 「ARMY」が襲われるなど波紋広がる

2020年10月15日(木)14時45分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネイター)リックあずみ

朝鮮戦争についての発言で中国ネット民の怒りをかってしまったBTS。右から3人目がリーダーのRM。REUTERS/Mike Blake

<アメリカとの同盟関係を称えたBTSのメッセージに中国が横やり>

K-POPアイドルといえば、韓国国内だけに留まらず、グローバルに活躍することで有名だ。しかし、その分、政治的な発言や行動には十分な注意が必要であり、影響力があるグループであればあるほど批判もされやすい。

今年、韓国人アーティストとして初めて米ビルボードチャートで1位を獲得したBTS(防弾少年団)は、2018年に続き、先月2度目の国連でスピーチを行うなど、世界を舞台に活躍するアイドルの代表となった。

そんなBTSだが、今回ある授賞式で行ったリーダーRMの発言が中国で波紋を広げている。

中国でも圧倒的なファンを誇るBTS

K-POPの人気が高い中国では、BTSももちろん広く親しまれているアーティストである。先月1日、メンバーの一人ジョングクの誕生日に合わせて、中国の彼のファンクラブ会員約140万名がお金を出し合い、韓国の高速鉄道KTXの全20車両388メートルのラッピング広告を行ったことが話題となった。

韓国ではファンが、大好きなアイドルや俳優たちのためにお金を集めて広告費を出して誕生日を祝うことは有名だが、この規模は前代未聞だ。依頼したファンクラブ側と、KTX広告担当者の橋渡しを請け負った広告代理店MAMIL AD.comによると、ジョングクの誕生日である9月1日から10月4日までの広告掲載費用は、およそ8000万ウォンに上ったという。

このように、中国ファン達からも愛されているBTSだが、韓国と中国とのはざまで一体何が起こっているのだろうか。

70年前の戦争が今も尾を引く韓中

ことの発端は、10月7日に行われた"2020 Van Fleet Award"授賞式だった。これは、米韓関係の発展に貢献した人びとを表彰し称えるもので、今年は新型コロナウイルスの感染拡大のため、オンラインにて行われた。

受賞者には、BTSの他に大韓商工会議所(KCCI)や、朝鮮戦争に参加した米国兵士たちも一緒に受賞者として名を連ねていた。

受賞の喜びを一人づつコメントした際、BTSのリーダーRMは英語で、「今年は朝鮮戦争70周年です。私たちは両国が共に経験した苦難の歴史と、多くの男性と女性の犠牲を記憶しなければならない」と発言した。これについて、特に"(米韓)両国が経験した苦難の歴史"という部分が、中国の一部のネット民たちの怒りを買ってしまったという。

その後、中国国営メディア「環球時報」は、「韓国と米国を "我が両国(our two nations)"という単語を使用し、(苦難の歴史と言ったことは)つまり、朝鮮戦争時の中国軍人の高貴な犠牲を無視したということになる」「BTSは、"抗美援朝"(=米国に対抗し北朝鮮を助けるという意味) の歴史をよく理解しないまま、中国を侮辱している」「国家尊厳に触れたことは絶対に容認することができない」などの反応があったことを伝えた。

これを受ける形で中国外交部報道局副局長である趙立堅も、会見でこの問題にに触れ、「関連報道と中国ネットユーザー達の反応には注視している。 歴史を模範として未来に向かいつつ平和的友好を図るには、共に追求し努力する必要がある」と語った。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

日仏、円滑化協定締結に向けた協議開始で合意 パリで

ワールド

NATO、加盟国へのロシアのハイブリッド攻撃を「深

ビジネス

米製造業新規受注、3月は前月比1.6%増 予想と一

ワールド

暴力的な抗議は容認されず、バイデン氏 米大学の反戦
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 2

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 3

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 4

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 5

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 6

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 7

    「複雑で自由で多様」...日本アニメがこれからも世界…

  • 8

    中国のコモディティ爆買い続く、 最終兵器「人民元切…

  • 9

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 10

    「TSMC創業者」モリス・チャンが、IBM工場の買収を視…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 5

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 8

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 9

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 10

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中