最新記事

K-POP

韓国BTSの朝鮮戦争めぐる発言で中国ネット民が大炎上 「ARMY」が襲われるなど波紋広がる

2020年10月15日(木)14時45分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネイター)リックあずみ

香港の民主活動家の黄之鋒もコメント

その後、香港の民主化活動家として知られる黄之鋒(ジョシュア・ウォン)もこの問題に言及し注目を集めている。彼は14日、自身のツイッターを通じ、「BTS発言の背後には、中国の民族主義と中国と他国間の緊張が高まっている兆しがあると言える」と発言した。

また一方で、今回の騒動がきっかけで、韓国内での反中議論発展を恐れてか、中国当局が関連SNS投稿を一部削除したのではないかという指摘が出るなど、波紋が広がっている。

さらに、「ARMY」と呼ばれるBTSのファンへの暴行事件まで発生してしまった。13日、中国のツイッターであるウェイボーに投稿されたあるファンの書き込みによると、BTSファンであるコメント投稿者は、BTSのファングッズであるスマホケースを利用していたのだが、それを見た人物が突然暴襲いかかってきたという。

被害者は足の骨が骨折し、顔にひどい傷を負っており全治一カ月と診断されたと投稿している。

今回の一連の騒動後、サムスン電子グループ、現代自動車グループ、スポーツ系ファッションブランド・フィラ(FILA)などが、急遽中国国内でのBTSを起用した広告及びプロモーションを中止したことを発表した。このように、たった一言のコメントが、政治や広告業界にも大きな影響を出し始めている状態だ。

重箱の隅をつつき韓流スターにかみつく中国ネット民

実は、中国ネット民たちが、こういった理由で韓国芸能人を攻撃するのは今回が初めてではない。

最近でいうと、今年の8月イ・ヒョリ氏がバラエティー番組『何して遊ぶ?(놀면 뭐하니?)』のあるコーナーで、キャラクターのネーミングを考えた際、「マオはどう?」と言ったそのひと言で大炎上してしまった。

「"マオ"という名前は、毛沢東前国家主席を連想させる」ということで、ヒョリ氏のSNSは一時中国側からの誹謗中傷が殺到した。後に制作陣から、「特定人物を意味する意図は全くなかった」と謝罪がなされた。

また、2016年には日本でも人気の高いTWICEの台湾人メンバー・ツウィの行動がきっかけで大炎上したことがあった。

ツウィは、人気バラエティー番組『マイ・リトル・テレビジョン』に出演した際、台湾の国旗を手に持って出演したのだが、台湾を国と認めない中国ではこれが大問題になり、不買運動にまで発展。当時、ツウィをCMモデルに起用していた通信会社LG U+は広告削除するまでに至った。後に、ツウィはSNS上で文と動画で謝罪している。

このように、これまでにもさまざまなスターが中国ネット民の標的にされている。暴行や誹謗中傷書き込みを行っているのは、一部の過激なネット民だと思うが、THAAD配備などの潜在的な問題がある両国だけに、今後も中国による韓流スターへの批判が再燃する可能性は十分ありえるだろう。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米、シリアでIS拠点に大規模空爆 米兵士殺害に報復

ワールド

エプスタイン文書公開、クリントン元大統領の写真など

ワールド

アングル:失言や違法捜査、米司法省でミス連鎖 トラ

ワールド

アングル:反攻強めるミャンマー国軍、徴兵制やドロー
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 2
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 3
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 4
    中国最強空母「福建」の台湾海峡通過は、第一列島線…
  • 5
    おこめ券、なぜここまで評判悪い? 「利益誘導」「ム…
  • 6
    ゆっくりと傾いて、崩壊は一瞬...高さ35mの「自由の…
  • 7
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦…
  • 8
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 9
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 10
    ロシア、北朝鮮兵への報酬「不払い」疑惑...金正恩が…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 10
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 6
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 9
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中