最新記事

2020米大統領選

米大統領選、熱気に欠けるトランプ岩盤支持層 反対派は嫌悪で投票意欲向上

2020年9月14日(月)11時36分

米大統領選投票日まで2カ月を切った今、トランプ大統領は2016年の勝利をもたらしてくれた「岩盤支持層」、特に非大卒白人有権者の熱気を高めることに苦戦を強いられているようだ。8月28日、ニューハンプシャー州ロンドンデリーで撮影(2020年 ロイター/Brian Snyder)

米大統領選投票日まで2カ月を切った今、トランプ大統領は2016年の勝利をもたらしてくれた「岩盤支持層」、特に非大卒白人有権者の熱気を高めることに苦戦を強いられているようだ。ロイターが世論調査結果を分析して分かった。

5月から8月までを対象に行ったロイター/イプソス調査と16年選挙の出口調査の結果を分析すると、トランプ氏に対する非大卒白人有権者の支持には陰りが見える。

彼らは16年時点で米有権者の44%を占め、当時の野党・民主党候補だったヒラリー・クリントン氏よりもトランプ氏を選んだ人が圧倒的だった。

現在でも非大卒白人のトランプ氏支持率は46%と、民主党候補のバイデン前副大統領に対する34%を上回っている。しかしその差12%ポイントは、5月の21%ポイントから縮小しており、16年のクリントン氏に比べた34%ポイントの大差には遠く及ばない。

さらにトランプ氏にとって悪いニュースは、非大卒白人の投票意欲がそれほど変化していない半面、民主党寄りのマイノリティー、女性、都市部住民、郊外地域住民、低所得層といったグループは投票意欲を高めていることだ。

つまり今回の選挙では、共和党が民主党に勝つために、投票率を引き上げなければならず、一段と強いプレッシャーに直面している、ということだ。

トランプ嫌悪が投票意欲高める

コロンビア大学の政治学者ドナルド・グリーン氏は「有権者の気分がどのように高揚し、扇動されているかを示す希少で興味深い分析だ」と語り、トランプ氏に明白な嫌悪感を持つという理由から、普段なら選挙に行かない人の投票意欲が高まっているとの見方を示した。

8月の調査では、有権者登録をしている黒人の69%と中南米系の61%が、「確実に」投票すると回答した。この比率はそれぞれ5月から7%ポイントと6%ポイント上昇している。選挙に行くと決めている有権者数は、女性や郊外地域住民、都市部住民、年収5万ドル未満の人の間でもいずれも5%ポイント上がった。

一方、必ず投票するという非大卒白人の比率は5月以降65%で横ばい、農村部では2%ポイント下がって63%となった。

また民主党員は確実に投票すると答えた人の比率が5月から8月までに約5%ポイント上昇して79%に達したのに、共和党は1%ポイント上昇の78%で、16年8月の民主69%、共和71%から逆転した。

イプソス調査を分析すると、投票に行く公算が大きいとしている有権者からの予想得票は、バイデン氏がトランプ氏を10%ポイント上回る。トランプ氏がこのバイデン氏の優位に対抗できる残された方策は、支持層の投票率が高くなるシナリオに限られる。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

香港のビットコイン・イーサ現物ETF、来週取引開始

ビジネス

氷見野副総裁、決定会合に電話会議で出席 コロナに感

ビジネス

ホンダ、旭化成と電池部材の生産で協業 カナダの新工

ビジネス

米家電ワールプール、世界で約1000人削減へ 今年
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴らす「おばけタンパク質」の正体とは?

  • 3

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗衣氏への名誉棄損に対する賠償命令

  • 4

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 5

    マイナス金利の解除でも、円安が止まらない「当然」…

  • 6

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 7

    ワニが16歳少年を襲い殺害...遺体発見の「おぞましい…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    ケイティ・ペリーの「尻がまる見え」ドレスに批判殺…

  • 10

    イランのイスラエル攻撃でアラブ諸国がまさかのイス…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 7

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 8

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中