最新記事

中印対立

インド、中国国際交流協会「注意を要する団体」に指定 ビザ要請など厳しく審査へ

2020年9月4日(金)13時43分

関係筋によると、インド政府は中国の非営利団体「中国国際交流協会」からのビザ発給要請を厳しく審査するよう指示した。写真はインドのデリーで2007年8月撮影(2020年 ロイター/B Mathur)

関係筋によると、インド政府は中国の非営利団体「中国国際交流協会」からのビザ発給要請を厳しく審査するよう指示した。

中国国際交流協会は全国人民代表大会(全人代、国会に相当)常務委員会の吉炳軒副委員長が代表を務めているが、インド政府が「注意を要する団体」に指定したという。

インド政府は今週、中国の一部のモバイルアプリの利用を禁止。インターネット市場で高いシェアを持つ中国企業を標的にした措置を打ち出している。

ポンペオ米国務長官も、米大学内に設置されている中国政府の非営利団体「孔子学院」について、年末までに全てを閉鎖することを望んでいると発言している。

インド政府当局者は、中国国際交流協会について、中国共産党中央統一戦線工作部とつながりがあると指摘。統一戦線工作部は指導者や研究員などの養成を通じて海外での影響力を高める活動を進めている。

関係者によると、インド政府は内部文書で中国国際交流協会を「注意を要する団体」に指定。同協会の活動が国益に反する可能性があるとの認識を示した。

これに伴い、同協会の代表や、同協会の支援する団体にビザを発給する際は、安全性を確認することが必要になるという。

中国外務省は、中国国際交流協会について、あらゆる国の社会団体と友好的に交流する非営利組織だと説明。「インドも含め世界中の人々と中国国民の間の相互理解、友好関係を深めることが目的だ」と述べた。

インドの内務省と外務省はコメントを控えている。

インド政府は、中国との関係が悪化する中、インド国内での中国の活動を幅広く調査しており、今回の措置もその一環とみられる。

オーストラリア政府も、州政府や公的機関が外国政府と結んだ契約を連邦政府が撤回できる新たな法律を提案している。

中国国際交流協会は、全人代常務副委員長や副委員長経験者などが代表を務め、中国共産党中央対外連絡部の幹部・元幹部が理事を務めている。

インドの中国研究の専門家であるジャワハルラール・ネルー大学のシュリカント・コンダパリ教授は「(中国国際交流協会は)海外に親中派を増やし、自国のリスクを抑制するため、多くのリソースを活用できる」と指摘。

中国の復旦大学・南アジア研究センターの張家棟教授は、今回の措置について、インドは以前から中国の学者や組織に対するビザの発給を厳しく審査しており、実際的な影響は少ないと指摘。「国内のナショナリズムに配慮した措置だろう」との見方を示した。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【関連記事】
・中国・三峡ダムに過去最大の水量流入、いまダムはどうなっている?
・巨大クルーズ船の密室で横行するレイプ
・戦略性を失った習近平「四面楚歌」外交の末路
・世界が激怒する中国「犬肉祭り」の残酷さ


20200908issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年9月8日号(9月1日発売)は「イアン・ブレマーが説く アフターコロナの世界」特集。主導国なき「Gゼロ」の世界を予見した国際政治学者が読み解く、米中・経済・テクノロジー・日本の行方。PLUS 安倍晋三の遺産――世界は長期政権をこう評価する。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イラン、イスラエルの核施設付近攻撃 初めて長距離ミ

ビジネス

アングル:コーヒー相場に下落予想、「ココア型暴落」

ワールド

アングル:米公共工事から締め出されるマイノリティー

ワールド

再送-米政府、海上停滞中のイラン産原油売却を容認 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:イラン革命防衛隊
特集:イラン革命防衛隊
2026年3月24日号(3/17発売)

イスラム神権国家を裏からコントロールする謎の軍隊の歴史と知られざる実力

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公開...母としての素顔に反響
  • 2
    メーガン妃、親友称賛の投稿が波紋...チャリティーの場でにじんだ「私的発信」
  • 3
    BTSカムバック公演で光化門に26万人、ソウル中心部の交通を遮断 ──「式場に入れない」新婦の訴えに警察が異例対応
  • 4
    「マツダ・日産・スバル」が大ピンチ?...オーストラ…
  • 5
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ…
  • 6
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 …
  • 7
    「日本人のほうが民度が低い」を招いてしまった渋谷…
  • 8
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する…
  • 9
    まずサイバー軍が防空網をたたく
  • 10
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期スペイン女王は空軍で訓練中、問われる「軍を知る君主」
  • 3
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え時の装いが話題――「ファッション外交」に注目
  • 4
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 5
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
  • 6
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
  • 7
    【衛星画像】イラン情勢緊迫、米強襲揚陸艦「トリポ…
  • 8
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 …
  • 9
    「マツダ・日産・スバル」が大ピンチ?...オーストラ…
  • 10
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目の…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 8
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 9
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 10
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中