最新記事

欧州

EU、ルカシェンコ大統領の独裁続くベラルーシに制裁導入ヘ ミンスクでは抗議活動継続

2020年8月15日(土)12時21分

独裁体制を敷くベラルーシのルカシェンコ大統領が9日の選挙で約80%の得票率で6選を決めたことを巡り、ドイツのマース外相は欧州連合(EU)はベラルーシに対する新たな制裁措置を導入すると述べた。写真はミンスクでの抗議活動の様子(2020年 ロイター/Vasily Fedosenko)

独裁体制を敷くベラルーシのルカシェンコ大統領が9日の選挙で約80%の得票率で6選を決めたことを巡り、ドイツのマース外相は14日、欧州連合(EU)はベラルーシに対する新たな制裁措置を導入すると述べた。

旧ソ連のベラルーシでは、大統領選の投票が終了した9日夜から大規模な抗議活動が続いており、これまでに少なくとも2人が死亡、数千人が治安当局に拘束された。

こうした中、EUは14日に臨時外相理事会を開催し、ベラルーシへの対応を協議。マース外相は記者団に対し「過去数日間にベラルーシで起きていることは全く容認できず、EUは明確に対応する必要がある」とし、「平和的な抗議活動の参加者に対する犯罪行為に加担した特定の人物に対する制裁発動を目指している」と述べた。

ベラルーシへの対応では、オーストリア、スウェーデン、ドイツが強硬な姿勢を提唱。ポーランド、チェコ、デンマーク、バルト3国はルカシェンコ大統領と反政権派との仲介を呼び掛けている。

EUは2004年に初めてベラルーシに対する制裁を発動させ、11年に人権侵害や選挙不正を巡り措置を強化。その後、ルカシェンコ大統領が16年に政治犯を釈放したことで、多くの制裁措置を解除した。

ベラルーシの首都ミンスクでは、この日もルカシェンコ大統領の辞任を求める抗議活動が継続。政権の基盤となっている国営企業の一部従業員も抗議活動に参加している。

大統領選の対立候補だったスベトラーナ・チハノフスカヤ氏は脱出先のリトアニアからユーチューブにビデオを投稿し、抗議活動継続のほか、大統領選での不正行為を巡る正式な調査実施を訴えた。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・コロナ感染大国アメリカでマスクなしの密着パーティー、警察も手出しできず
・巨大クルーズ船の密室で横行するレイプ
・新たな「パンデミックウイルス」感染増加 中国研究者がブタから発見
・韓国、ユーチューブが大炎上 芸能人の「ステマ」、「悪魔編集」がはびこる


2020081118issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
楽天ブックスに飛びます

2020年8月11日/18日号(8月4日発売)は「人生を変えた55冊」特集。「自粛」の夏休みは読書のチャンス。SFから古典、ビジネス書まで、11人が価値観を揺さぶられた5冊を紹介する。加藤シゲアキ/劉慈欣/ROLAND/エディー・ジョーンズ/壇蜜/ウスビ・サコ/中満泉ほか

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国産レアアースの対米輸出規制、完全撤廃の可能性低

ワールド

アラムコCEO、今年の石油需要は堅調持続 米中貿易

ビジネス

マネーストックM3、4月は前年比0.1%増 18年

ビジネス

見通しはすぐに覆る可能性、政策経路「いつでも変わり
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:2029年 火星の旅
特集:2029年 火星の旅
2025年5月20日号(5/13発売)

トランプが「2029年の火星に到着」を宣言。アメリカが「赤い惑星」に自給自足型の都市を築く日

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    カヤック中の女性がワニに襲われ死亡...現場動画に映った「殺気」
  • 3
    ゴルフ場の近隣住民に「パーキンソン病」多発...原因は農薬と地下水か?【最新研究】
  • 4
    母「iPhone買ったの!」→娘が見た「違和感の正体」に…
  • 5
    シャーロット王女の「親指グッ」が話題に...弟ルイ王…
  • 6
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 7
    「出直し」韓国大統領選で、与党の候補者選びが大分…
  • 8
    「がっかり」「私なら別れる」...マラソン大会で恋人…
  • 9
    あなたの下駄箱にも? 「高額転売」されている「一見…
  • 10
    ハーネスがお尻に...ジップラインで思い出を残そうと…
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つの指針」とは?
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 5
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 6
    シャーロット王女の「親指グッ」が話題に...弟ルイ王…
  • 7
    ロシア機「Su-30」が一瞬で塵に...海上ドローンで戦…
  • 8
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 9
    ついに発見! シルクロードを結んだ「天空の都市」..…
  • 10
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの…
  • 5
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 6
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 7
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 10
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中