最新記事

米中関係

米中衝突を誘発する「7つの火種」とは

U.S.-China Tension Everywhere

2020年7月25日(土)14時20分
ジョシュア・キーティング

新型コロナウイルス

米中間の緊張は引き続き新型コロナウイルス流行への国際社会の対応に影を落としている。トランプはかねてから中国寄りだと非難していたWHO(世界保健機関)からの脱退を7月6日付で正式通知、手続きに入った(気候変動に関するパリ協定と同じく脱退は正式通知から1年後なので、実現するかどうかは11月の米大統領選の結果次第だ)。

WHOは中国に専門家らを派遣してウイルスの発生源を調査している。6月の報道によれば、新型コロナの流行当初、表向きは中国の対応を称賛していたが、実際は中国からの情報の遅れや不足にいら立っていたようだ。

一方、トランプ政権側はむちゃくちゃな主張をして中国起源説を正当化している。対中強硬派の側近は新型コロナウイルスが夏の暑さでも消えないのは中国の生物兵器である証拠と示唆。トランプ自身も選挙集会で(カンフーとインフルエンザを合わせた)「カンフル」という人種差別的表現を使い続けている。

軍縮

トランプ政権はロシアとの新戦略兵器削減条約(START)の延長交渉に中国も加わるよう求めているが、中国は拒否。中国外務省は7月8日、「アメリカが(核兵器保有数を)中国と同水準に削減する」なら参加すると皮肉った(保有核弾頭数は米ロ各6000発超に対し、中国は推定290発)。一方で中国はイランと経済・安全保障のパートナーシップ協定を交渉中とも報じられている。

いずれも新型コロナと目前に迫った米大統領選がもたらす一時的な緊迫と考えたくなる。民主党のジョー・バイデン陣営はトランプ政権の対中政策を「発言は強硬で行動は弱腰」と批判。バイデン政権が誕生すれば口ばかりの好戦的な姿勢や陰謀論は影を潜めるだろう。だが新疆のジェノサイドや中国と周辺国の領有権争いなどの問題は依然残る(習は任期制限撤廃により終身国家主席も夢ではない)。

「新冷戦」の現実味は増しており、当分消えそうにない。

©2020 The Slate Group

<本誌2020年7月28日号掲載>

【関連記事】限界超えた米中「新冷戦」、コロナ後の和解は考えられない

【話題の記事】
中国・三峡ダムに「ブラックスワン」が迫る──決壊はあり得るのか
国家安全法成立で香港民主化団体を脱退した「女神」周庭の別れの言葉
中国・超大国への道、最大の障壁は「日本」──そこで浮上する第2の道とは
台湾のビキニ・ハイカー、山で凍死

20200728issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年7月28日号(7月21日発売)は「コロナで変わる日本的経営」特集。永遠のテーマ「生産性の低さ」の原因は何か? 危機下で露呈した日本企業の成長を妨げる7大問題とは? 克服すべき課題と、その先にある復活への道筋を探る。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米印、貿易協定締結で合意 トランプ氏が相互関税引き

ワールド

米イラン、6日に核協議 イスタンブールで=関係筋

ワールド

グリーンランド首相「米の同地巡る支配意図変わらず」

ワールド

英、ロシア外交官を追放 先月の同様の措置への報復
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの帝国
特集:トランプの帝国
2026年2月10日号(2/ 3発売)

南北アメリカの完全支配を狙うトランプの戦略は中国を利し、世界の経済勢力図を完全に塗り替える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「出禁」も覚悟? ディズニーランドで緊急停止した乗り物から「勝手に退出」する客の映像にSNS批判殺到
  • 2
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れるアメリカ」に向き合う「日本の戦略」とは?
  • 3
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から脱却する道筋
  • 4
    中国政府に転んだ「反逆のアーティスト」艾未未の正体
  • 5
    関節が弱ると人生も鈍る...健康長寿は「自重筋トレ」…
  • 6
    エプスタイン文書追加公開...ラトニック商務長官、ケ…
  • 7
    世界初、太陽光だけで走る完全自己充電バイク...イタ…
  • 8
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレ…
  • 9
    共和党の牙城が崩れた? テキサス州で民主党が数十…
  • 10
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界でも過去最大規模
  • 3
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「副産物」で建設業界のあの問題を解決
  • 4
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から…
  • 5
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 6
    一人っ子政策後も止まらない人口減少...中国少子化は…
  • 7
    スペースXの宇宙飛行士の帰還が健康問題で前倒しに..…
  • 8
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 9
    町長を「バズーカで攻撃」フィリピンで暗殺未遂、大…
  • 10
    秋田県は生徒の学力が全国トップクラスなのに、1キロ…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 6
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 7
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 8
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 9
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中