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若者は資格なし? 英国民になれる香港人の条件とは

Many Hong Kongers On Course to Become British

2020年6月8日(月)17時35分
ユアンイー・チュー(オックスフォード大学政治学講師)

だが、それだけでは済まない。BNOの資格はあるのに諸般の事情で申請できなかった人もたくさんいる。いま抗議行動の最前線にいる若者の大半は、1997年7月1日の「返還」後に生まれているからBNOにさえなれない。BNOの資格を親から子へと引き継ぐ仕組みもない。

ジョンソンの提案を意味あるものとするには、まずBNOパスポートの所持者が自分の家族を連れて英国本土に渡る権利を保障する必要がある。そうなれば非白人の移民がさらに増えることになりそうだが、現実には移民嫌いの英国より、カナダやオーストラリアを目指す人のほうが多いだろう。

かつてイギリスの政治家から厄介者扱いされた香港のBNOは、今やイギリス経済の再生に不可欠な人材、そして中国政府に対抗するための機会と見なされ始めている。

From Foreign Policy Magazine

<2020年6月16日号掲載>

【参考記事】「イギリスが香港のために立ち上がらないことこそ危機だ」パッテン元総督
【参考記事】香港を殺す習近平、アメリカと同盟国はレッドラインを定めよ

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2020年6月16日号(6月9日発売)は「米中新冷戦2020」特集。新型コロナと香港問題で我慢の限界を超え、デカップリングへ向かう米中の危うい未来。PLUS パックンがマジメに超解説「黒人暴行死抗議デモの裏事情」

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