最新記事
韓国

韓国居住の外国人困惑 再入国の手続き厳格化で

2020年6月1日(月)17時15分
佐々木和義

韓国政府は6月1日から居住外国人の再入国を制限すると発表した REUTERS/Kim Hong-Ji

<韓国政府は6月1日から居住外国人の再入国を制限すると発表し、韓国に居住する外国人の反発が相次いでいる.....>

韓国の首都圏で新型コロナウイルスの集団感染が再発し、政府は5月29日午後6時から6月14日まで防疫管理を強化すると発表した。

首都圏の美術館や博物館、公園、国公立劇場など公共施設の運営を中止し、政府や自治体、公共機関が開催する行事は取りやめるか延期となる。

ソウル・梨泰院のクラブで発生した集団感染は7次感染まで広がり、小中学校の生徒や教職員の感染も相次いでいる。800校を超える学校が5月27日から予定していた登校を延期した。

居住外国人の再入国を制限

5月6日、韓国政府は新型コロナウイルス感染の減少を受け、外出自粛等の規制を緩和したのだが、翌5月7日、ソウル・梨泰院のクラブから集団感染が広がった。25日0時までに確認されたクラブ関連の感染者は237人で、127人がソウル市内で見つかった。

4月1日以降、韓国政府は海外からの入国者に2週間の隔離を義務付けるが、6月1日から居住外国人の再入国を制限すると発表した。外国人登録をしている長期滞在外国人は、外交ビザを除いて出国前、出入国管理事務所に申請書と事由書を提出し、申請手数料3万ウォンを支払って再入国許可を申請しなければならない。

また、搭乗と入国審査の際、現地の医療機関が48時間以内に発行した韓国語または英語の診断書の提出を義務付ける。再入国許可を申請せずに出国した外国人と診断書を所持していない外国人は再入国を認めない。

法務部は、韓国に居住する外国人が国外に出て、新型コロナに感染した後に入国するケースが確認されたことによる一時的な措置と説明するが、人権侵害だとして反発する声が上がっている。外国人登録がある居住外国人は査証期限まで、自由に出入国できるのが原則だからだ。

韓国には2018年時点で236万人の外国人が居住し、全住民の4.5%を占めている。さらに発表が施行のわずか8日前で、韓国語はもとより英語の診断書の発行が難しい国もある。

大統領府のホームページに改善を求める請願が出され、7000人以上が同意した。法務部は、3週間以内の短期出張者は、出国前に「診断免除書」を提出すると診断書が免除される制度に改めた。再入国規制を発表した前日の22日、隔離義務違反で20代の日本人が拘束された。入国後2週間の隔離義務違反で外国人が拘束されたはじめての事例である。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

アルミに供給不安、アフリカ製錬所が来年操業休止 欧

ビジネス

川崎重社長、防衛事業の売上高見通し上振れ 高市政権

ワールド

インド中銀総裁「低金利は長期間続く」=FT

ビジネス

シャドーバンキング、世界金融資産の51% 従来型の
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を変えた校長は「教員免許なし」県庁職員
  • 4
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 5
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 6
    「住民が消えた...」LA国際空港に隠された「幽霊都市…
  • 7
    【人手不足の真相】データが示す「女性・高齢者の労…
  • 8
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 9
    FRBパウエル議長が格差拡大に警鐘..米国で鮮明になる…
  • 10
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 6
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 7
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 8
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 9
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 10
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中