最新記事

ネット

韓国、新型コロナウイルスでデマニュースから隔離生活まで 天災もネタにするユーチューバーたち

2020年3月12日(木)20時35分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネイター)

1月29日、韓国・東大邱駅には逃げる男と追いかける防護服の男たちがいたが…… 스브스뉴스 SUBUSU NEWS / YouTube

<未曾有のパンデミックもユーチューバーたちにはメシの種なのか>

広告費で収入を得るプロのユーチューバーたちは、少しでも多くの再生回数を稼ぎたいがために、今最も注目度が高く関心を引くテーマで動画を製作しアップロードすることが多い。さらに、内容も過激な物の方が興味をもたれやすいため、徐々に動画内容がエスカレートしてしまうユーチューバーも多いようだ。

地方の感染が落ち着きを見せ始めたところに、ソウルにあるコールセンターオフィスで90人以上の集団感染が発生するなど、地方から都市部に感染拡大を見せる韓国だが、初めに集団感染が起こった大邱で、ユーチューバーがヤラセ動画撮影し、問題視されている。

大邱地検はこの5日、22歳から36歳の4人組ユーチューバーを起訴したと発表した。報告によると、この4人は、1月29日午前11時ごろ東大邱駅構内で、「防護服を着た感染者らしき人を発見したので追跡してみる」という内容の動画を撮影した。実際には、これは4人のうちの仲間2人に防護服を着せ、演技しているところを本物らしく見せたヤラセだった。

ヤラセの撮影が騒ぎに

ところが、この撮影現場を見ていた市民が、本当の感染者だと思い、警察と地下鉄の駅長室に通報。警察官が出動する騒ぎとなった。

当初出動した警察官らは、彼らに注意をし、10万ウォン以下(約8800円)の罰金を課しただけだった。しかし、翌日には、一連の騒動がネットを中心に明るみになり、「国民申聞鼓」と呼ばれる国民が政府に提案や意見できるネットサービスに、このユーチューバー4人への罰則の甘さに意見する投書が載った。

検察側はこれを受けて、改めて該当の撮影映像分析と東大邱駅関係者に対し調査を行った。その結果、市民をパニックに陥れた罪と、駅構内で撮影が行われたため、駅の運営を妨げた罪を合わせて、現在4人は業務妨害と軽犯罪処罰法違反の疑いで起訴されている。

一度軽い罰金で終えた件を世論から更なる調査が進められるのは韓国らしい一面でもある。また、政府と国民がインターネットで繋がっているからこそ、今リアルタイムで起きている問題の意見交換ができるのも韓国の特徴だと言える。

4人のYouTubeチャンネルや登録名は明らかにされていないが、登録者数50万人を超える人気チャンネルだという。内容は日本でもよく見かけるドッキリを仕掛けたり、チャレンジしたりする企画が多く、今回の「事件」についてユーチューバー側は「コロナへ警戒心をもってもらおうと注意喚起のためにやった」と供述しているという。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=ナスダック連日最高値、アルファベット

ワールド

米、ロ産石油輸入巡り対中関税課さず 欧州の行動なけ

ワールド

前セントルイス連銀総裁、FRB議長就任に「強い関心

ビジネス

NY外為市場=ドル全面安、FOMC控え
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェイン・ジョンソンの、あまりの「激やせぶり」にネット騒然
  • 3
    腹斜筋が「発火する」自重トレーニングとは?...硬く締まった体幹は「横」で決まる【レッグレイズ編】
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    ケージを掃除中の飼い主にジャーマンシェパードがま…
  • 6
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 7
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    「この歩き方はおかしい?」幼い娘の様子に違和感...…
  • 1
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 2
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 3
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 4
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 5
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 6
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 7
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 10
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中