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感染症

新型コロナウイルス患者が中国外で急増 感染拡大巡る懸念で世界株安

2020年2月25日(火)09時10分

中国本土外にも感染が広がる新型コロナウイルスは24日、イタリアや韓国、イランなど複数の国で感染者が急増した。写真はイラクのナジャフで消毒に当たる医療チーム(2020年 ロイター/ALAA AL-MARJANI)

中国本土外にも感染が広がる新型コロナウイルスは24日、イタリアや韓国、イランなど複数の国で感染者が急増した。世界的な感染拡大を巡る懸念から、世界の株式市場は軒並み急落した。しかし、世界保健機関(WHO)は「パンデミック(世界的な大流行)」と宣言するのは時期尚早との認識を示した。

イタリア保健当局は、新型ウイルス感染で新たに4人が死亡したと発表。同国での死者はこれで7人になった。死亡した患者はいずれも高齢もしくは重い病気を患っていたという。また、国内の感染者数も220人を超えた。

イタリアのコンテ首相は、新型ウイルス流行による「経済への影響が極めて大きく」となる可能性があると指摘。ただ、影響を見極める段階には至っていないと述べた。

中東地域ではイランを中心に感染が広がっている。イランはこれまでに61人の感染を確認。感染による死者は12人。

クウェート、バーレーン、オマーン、イラク、アフガニスタンではこの日、初の感染が確認された。いずれもイランへの渡航歴がある。

WHOは25日に、イランに調査団を派遣する。

韓国の保健当局は、新たに231人の感染を確認したと発表。これにより、韓国国内の感染者は累計833人に達した。感染は第4の都市・大邱の教会信者らの間で広がっている。

米疾病対策センター(CDC)によると、米国内の新型ウイルス感染確認数は14人。これとは別に、中国・武漢市から帰国した人やクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の退避者で感染が確認されたのは39人に上る。

中国本土以外で患者が急増する中、金融市場では安全資産への逃避買いが膨らみ、世界株安となった。

米株式市場は主要株価3指数がそろって3%を超える下げを記録。ダウ平均は一時約1000ドル下げる場面もあった。

欧州株式市場は2016年半ば以来の大幅安となり、欧州域内で最悪の感染拡大となっているイタリアの主要株価指数は5.4%急落した。

原油相場も約5%下落。一方、安全資産とされる金は7年ぶり高値を更新した。

また、米金利先物が急上昇し、昨秋以来の高水準を付けた。米連邦準備理事会(FRB)が新型ウイルス流行による経済への影響を和らげるために利下げに動くとの観測が高まっていることを反映した。

CMEのフェドウォッチによると、85%超の確率でFRBが7月に少なくとも0.25%ポイント利下げするとの見方が織り込まれた。1カ月前の時点では50%だった。また、来年初旬時点の金利が1%近辺もしくは1%以下と、現在の1.50─1.75%から低下するとの予想も織り込まれた。

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