最新記事

2020米大統領選

ブルームバーグは打倒トランプの救世主か、民主主義を破壊する億万長者か

How the Shadow Candidate May Win

2020年2月19日(水)15時50分
マリー・ハリス(ラジオパーソナリティー)

ナッシュビル(テネシー州)の選挙集会で演説するブルームバーグ。指名獲得に向けて独自の戦略で戦う BRETT CARLSEN/GETTY IMAGES

<目立った選挙活動なしでも巨費を投じた広告で存在感を維持──ニューヨーク市長時代も金にものをいわせたこの男の「必勝戦略」とは>

前ニューヨーク市長のマイケル・ブルームバーグは今年の米大統領選で、今のところ「陰の候補」だ。民主党の候補者討論会には参加していないし、もうしばらくは予備選にも顔を出さない。

でもテレビをつけたりフェイスブックのページを開いたりすると、嫌でも彼の顔が目に飛び込んでくる。ブルームバーグ陣営は今も選挙広告に巨費を投じている。だから指名争いの前半戦をパスしても、この男の存在感は強い。

この億万長者は、本当のところは何を考えているのか。10年以上前から政治家ブルームバーグを追い掛けてきたアトランティック誌記者のエドワードアイザック・ドベールにニューヨークのラジオパーソナリティー、マリー・ハリスが話を聞いた。

◇ ◇ ◇

──ブルームバーグは以前から大統領選への出馬を検討していた。今回は今までの例とどこが違う?

ブルームバーグが最初に大統領選を意識したのは、2005年にニューヨーク市長として再選を果たした頃だ。2007年に共和党を離れて無所属になったのも、翌年の大統領選出馬に向けた布石だった。

陣営のスタッフは国内各地を回り、出馬の第一歩を踏み出すのに必要な準備を整えた。結果的に出馬はしなかったが、いつでも出馬できる準備はできていた。2012年にも一部で出馬の可能性がささやかれたが、これもお茶を濁した程度で終わった。

──でも前回、2016年には、選挙広告の文言まで用意していた。

2016年の大統領選では、出馬に向けた本気の計画ができていた。彼は、ドナルド・トランプが共和党の有力候補を次々に倒していくのを見ていた。一方で、民主党の本命ヒラリー・クリントンに何かが足りないことにも気付いていた。だからブルームバーグは本気で出馬を検討した。

──でも当時の作戦は型破りで、無所属で立候補して善戦し、最後は議会の判断を仰げばいいと考えていた。

そのとおり。無所属の候補として可能な限りの選挙人を獲得して、最後は連邦議会下院の投票に委ねるという作戦だった。憲法の定めにより、本選挙で誰も選挙人の過半数(270人以上)を獲得できなかった場合、決選投票は下院に委ねられる。まず下院議員が出身州ごとに単一の候補者を選ぶ。そして1つでも多くの州で選ばれた者が、晴れて大統領となる仕組みだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ローマ教皇レオ14世、初のクリスマス説教 ガザの惨

ワールド

中国、米が中印関係改善を妨害と非難

ワールド

中国、TikTok売却でバランスの取れた解決策望む

ビジネス

SOMPO、農業総合研究所にTOB 1株767円で
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 2
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足度100%の作品も、アジア作品が大躍進
  • 3
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...どこでも魚を養殖できる岡山理科大学の好適環境水
  • 4
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者…
  • 5
    ジョンベネ・ラムジー殺害事件に新展開 父「これま…
  • 6
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 7
    ノルウェーの海岸で金属探知機が掘り当てた、1200年…
  • 8
    「時代劇を頼む」と言われた...岡田准一が語る、侍た…
  • 9
    ゴキブリが大量発生、カニやロブスターが減少...観測…
  • 10
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 1
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 2
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 5
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 8
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 9
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 10
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 8
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中