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ロックな台湾を熱狂させるロックな政治家、フレディ・リムって誰?

Same Stage, Different Feelings

2020年1月30日(木)13時30分
ビオラ・カン(ジャーナリスト・写真家)

台湾を「普通の国」に

「台湾独立」にもさまざまな段階があるが、「国家として正当に扱われるべき」という目標は若者、そして親中派も台湾独立派も共有できる。フレディの目標の1つは、台湾の政党政治を「中台の両岸問題に関わる2大政治集団の国家承認をめぐる競争から、2つの台湾政党による公共的課題をめぐる競争に徐々に進化させる」こと。これは台湾が「普通の国」へ向かう重要な過程でもある。

1月11日夜、フレディは台北市第5区でライバルの国民党候補を5416票差で破り、再選した。涙をこらえながら、彼はかすれた声で支持者に語り掛けた。

「この重要な時に台湾は重要な選択をした。自分(の勝利)だけでなく、蔡英文総統も圧勝で再選を果たした。台湾人は民主と自由を守り、中国を頼らない道を選んだ。僕たちは誇りを持って自分の道を歩き出せる。勇気と自信を持って世界へ歩き出す」

会場全体に歓声が広がり、近くの住民が花火を上げ、爆竹を鳴らし勝利を祝った。これが人情に厚くぬくもりがある台湾だ。中国との最前線にありながら、800万以上の有権者がそれぞれの一票で民主と自由を守る意思を示した台湾だ。そして、世界で唯一デスメタルバンドのボーカルでもある国会議員がいる、最もロックな台湾だ。

<2020年1月28日号掲載>

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