最新記事

YouTube

韓国でトゥレット障がい者のユーチューバー、「演技」発覚で大炎上

2020年1月15日(水)20時15分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネーター)

一度は障がいに負けずにチャレンジする青年としてニュース番組でも取り上げられたアイムトゥレット氏だったが……  채널A 뉴스 / YouTube

<ハンディキャップを乗り越えて、懸命にチャレンジする障がい者──。そんなイメージを逆手に取り、あるユーチューバーが実際よりも重度な障がいを「演じた」>

子供や動物、DIYやゲーム実況などYouTubeにはさまざまなジャンルのチャンネルが開設されている。2019年からは、芸能人も続々とユーチューバーデビューをしはじめ、今後ますますユーチューバー人口は増えそうだ。

そんななか、お隣りの韓国であるユーチューバーがきっかけとなって騒動が巻き起こっているのはご存じだろうか? 波紋を呼ぶきっかけとなったのは、ユーチューバー"アイムトゥレット(I'm Tourette)"氏のYouTubeチャンネルだった。Touretteとは、トゥレット症候群のことを指し、チックと呼ばれる精神疾患のうち声と動きの症状が出ることだ。

このユーチューバーはその名の通り、トゥレット症候群を患っており、動画の中では、そんな彼が症状で動きが不自由ながら絵を描いたり、ラーメンを作って食べるなどさまざまなことに挑戦したり、自分の夢や目標を語ったりしている。視聴者は、そんなアイムトゥレット氏を動画を通じて応援していた。チャンネル視聴者数は、1カ月のうちに40万人に達し、一気に人気ユーチューバーの仲間入りを果たすほどだった。

同情と感動を呼んだ動画だったが......

しかし、彼が動画の中で見せる症候は演技ではないか?という疑惑の書き込みがきっかけで、元同級生や近所に住んでいるという人たちが「彼はチック症状ではなかった」など、次々とアイムトゥレット氏の症状が偽物だというコメントが書き込まれるようになった。その後、ネット上では過去の投稿動画などから、本当にトゥレット症候群なのか検証まで繰り広げられるようになる。

検証内容を見ると、アイムトゥレット氏は過去に本名でラップ楽曲をネット上で配信しており、そこではまったく症状が出ていない。また、症状のせいで食事を取るのが大変なことを紹介し、さまざまな食事風景をチャレンジ動画として投稿しているが、インスタントラーメンと国産牛焼肉とでは症状の度合いにばらつきが見える。安いインスタントラーメンでは、箸を持つ手がぶれて食べるのもやっとだが、高級な焼肉では症状が抑えられ、箸から肉を落としたりひっくり返すようなことはなかった。

次第に大きくなった疑惑の声を収拾するため、アイムトゥレット氏は今月6日に謝罪動画をアップした。証拠として、服用している薬が載った病院からの処方箋を見せながら、トゥレット症候群は患っているものの、動画制作にあたって、症状を大げさに演技していたことを認め、過去動画をすべて削除した。

しかし、アイムトゥレット氏が自身のチャンネルから過去の動画を削除しても、他のユーザーが過去の動画を再アップロードするなどして炎上は収まらない。なかには、アイムトゥレット氏に対して「2019年YouTube 新人演技賞」を贈るという動画をアップして批判する者まで現れた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ECB当局者、6月利下げを明確に支持 その後の見解

ワールド

米、新たな対イラン制裁発表 イスラエルへの攻撃受け

ワールド

イラン司令官、核の原則見直し示唆 イスラエル反撃を

ワールド

ロシア、5─8年でNATO攻撃の準備整う公算=ドイ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の衝撃...米女優の過激衣装に「冗談でもあり得ない」と怒りの声

  • 3

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画って必要なの?

  • 4

    「イスラエルに300発撃って戦果はほぼゼロ」をイラン…

  • 5

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離…

  • 6

    【画像】【動画】ヨルダン王室が人類を救う? 慈悲…

  • 7

    ヨルダン王女、イランの無人機5機を撃墜して人類への…

  • 8

    紅麴サプリ問題を「規制緩和」のせいにする大間違い.…

  • 9

    インド政府による超法規的な「テロリスト」殺害がパ…

  • 10

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体は

  • 4

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 5

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 8

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 9

    帰宅した女性が目撃したのは、ヘビが「愛猫」の首を…

  • 10

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中