最新記事

飲酒運転

アルコール呼気チェックしないとエンジンがかからない装置の義務化が進む

2020年1月9日(木)17時39分
モーゲンスタン陽子

アルコールが検知されるとエンジンがかからない ...... YouTube

<カナダ・ケベック州では、10年間に2度飲酒運転で有罪となった者は、アルコール呼吸分析器に息を吹き込まないとエンジンがかからない装置を一生取り付けることが義務付けられた ......>

クリスマスから新年にかけてのホリデイシーズンで、毎年、飲酒がらみの事故が世界各地で報告される。未成年による事故も少なくない。今月5日にはイタリアの南チロル地方で、スキー旅行に来ていたドイツ人学生の集団に泥酔状態の地元男性(27)が運転する車が突っ込み、20〜22歳の若者7人が死亡、10人が重症という痛ましい事故が起きたばかりだ。

ホリデイシーズンに先駆け、カナダのケベック州では昨年11月25日より新法が有効となった。10年間に2度飲酒運転で有罪となった者は、自家用車にイグニッション・インターロック・デバイス(IID)と呼ばれる装置の取り付けを義務付けられる。運転者がアルコール呼吸分析器に息を吹き込み、規定以上の血中アルコール(ケベックでは0.08g)が検知されるとエンジンがかからない。取り付け義務は「一生」だ。 

世界各地で採用が進むIID

IIDに関するケベック州の今回の法的措置は、カナダだけでなく世界的に見ても最も厳しい罰則の1つともいわれるが、IIDの設置自体はとくに新しいアイディアではない。アメリカでは2004年から徐々に採用が進み、2013年までで18州、現在では50州すべてにおいてその使用に関する規定が制定されている(条件は各州で異なる)。2016年の研究によると、採用している州としていない州とでは、飲酒がらみの死亡事故において最初の1、2年はあまり違いが見られなかったものの、3年目あたりから効果が顕著になり、プログラムは全体で飲酒運転による死亡事故を約15%減少させたと結論づけている。

スウェーデンは、IID使用における先駆者と見なされている。有罪者へのペナルティに加え、スクールバス、公共の交通機関、また政府の車両などでも多く採用されているようだ。フランスでは、スクールバスでIIDの設置が義務付けられており、さらに再犯者のリハビリテーションプログラムの一部としても使用されている。オランダでも飲酒運転のペナルティとして2011年12月から、IIDを2年間使用するか、5年間の免許返納かを選択できるようになった。ドイツではAlkolockというドイツ語+英語の造語まであるIIDだが、定期的に議論されてはいるものの、このシステムはまだ採用されていない

カナダでも、ケベック州に先駆けてノヴァ・スコシア州で導入されており、効果が見られたようだ。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

東エレク、需要強く純利益は一転増益へ 配当予想も引

ビジネス

トヨタ、通期純利益を上方修正 HV販売増加と原価改

ビジネス

トヨタが社長交代、近CFOが昇格 佐藤氏は3年で副

ビジネス

ドイツの12月輸出が予想以上に増加、鉱工業生産は減
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの帝国
特集:トランプの帝国
2026年2月10日号(2/ 3発売)

南北アメリカの完全支配を狙うトランプの戦略は中国を利し、世界の経済勢力図を完全に塗り替える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新世論調査が示すトランプ政権への評価とは
  • 2
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近したイラン製ドローンを撃墜
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    「右足全体が食われた」...突如ビーチに現れたサメが…
  • 5
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染…
  • 6
    「反トランプの顔ぶれ」にMAGAが怒り心頭...グリーン…
  • 7
    エヌビディア「一強時代」がついに終焉?割って入っ…
  • 8
    ユキヒョウと自撮りの女性、顔をかまれ激しく襲われ…
  • 9
    エプスタインが政権中枢の情報をプーチンに流してい…
  • 10
    「エプスタインは悪そのもの」「悪夢を見たほど」──…
  • 1
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 2
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から脱却する道筋
  • 3
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「副産物」で建設業界のあの問題を解決
  • 4
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染…
  • 5
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 6
    「出禁」も覚悟? ディズニーランドで緊急停止した乗…
  • 7
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新…
  • 8
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 9
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れ…
  • 10
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 5
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 8
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 9
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中