最新記事

米主導の対北朝鮮圧力は崩壊へ? 中ロが制裁緩和でタッグ

2019年12月21日(土)09時39分

北朝鮮が超えてはいけない一線

「ロシアは総じて、北朝鮮と一緒にやっていく上で圧力路線は間違った方法だと感じている」と話す。「北朝鮮が来年にかけて一段と挑発的な姿勢に出れば、中ロの北朝鮮に対する寛容さが厳しく試されることになるかもしれない」

北朝鮮に対する経済的な影響力は、中国のほうがより大きい。韓国の貿易団体がさきごろ公表したリポートによると、北朝鮮の昨年の対外貿易全体に占める中国の比率は91.8%。2001年は17.3%だった。

中国からなだれ込む旅行者は、北朝鮮にとって極めて欠かせない経済の生命線だ。両国間の密貿易も増えているとの報告もある。

ソウルにあるジョージ・メイソン大学コリアのアンドレイ・アブラハミアン客員研究員は「北朝鮮が来年、強硬なアプローチを思案しようとしても、こうした影響力のため北朝鮮は手を休める可能性がある」と予想する。

「北朝鮮は伝統的に中国の影響力に強く抵抗はするが、中国が北朝鮮を罰するつもりはないことを分かっており、本物の不安定化をもたらすほどまでは抵抗しない」

ワシントンのシンクタンク、ディフェンス・プライオリティーズのフェロー、ダニエル・デペトリス氏は、中ロが一緒になって金正恩氏をしばらく抑制させるでのはないかと指摘する。

「中国とロシアのレッドライン(越えてはいけない一線)がどこにあるかは分からないが、北朝鮮がICBMを発射したり、核実験を行えば、今の姿勢を変えるのは間違いないだろう」と、デペトリス氏は言う。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

メラニア夫人、プーチン氏に書簡 子ども連れ去りに言

ワールド

米ロ首脳、ウクライナ安全保証を協議と伊首相 NAT

ワールド

ウクライナ支援とロシアへの圧力継続、欧州首脳が共同

ワールド

ウクライナ大統領18日訪米へ、うまくいけばプーチン
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
2025年8月12日/2025年8月19日号(8/ 5発売)

現代日本に息づく戦争と復興と繁栄の時代を、ニューズウィークはこう伝えた

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...「就学前後」に気を付けるべきポイント
  • 3
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コロラド州で報告相次ぐ...衝撃的な写真の正体
  • 4
    【クイズ】次のうち、「海軍の規模」で世界トップ5に…
  • 5
    債務者救済かモラルハザードか 韓国50兆ウォン債務…
  • 6
    「ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢」(東京会場) …
  • 7
    「笑い声が止まらん...」証明写真でエイリアン化して…
  • 8
    「長女の苦しみ」は大人になってからも...心理学者が…
  • 9
    【クイズ】次のうち、「軍事力ランキング」で世界ト…
  • 10
    「触ったらどうなるか...」列車をストップさせ、乗客…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...「就学前後」に気を付けるべきポイント
  • 3
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた「復讐の技術」とは
  • 4
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コ…
  • 5
    「笑い声が止まらん...」証明写真でエイリアン化して…
  • 6
    「長女の苦しみ」は大人になってからも...心理学者が…
  • 7
    これぞ「天才の発想」...スーツケース片手に長い階段…
  • 8
    「触ったらどうなるか...」列車をストップさせ、乗客…
  • 9
    「何これ...」歯医者のX線写真で「鼻」に写り込んだ…
  • 10
    産油国イラクで、農家が太陽光発電パネルを続々導入…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失…
  • 6
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 7
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 10
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中