最新記事

中国

中国で捕らわれた外国人を待つ地獄の日々

A Cruel Fate in China

2019年12月17日(火)18時20分
ピーター・ハンフリー(調査会社チャイナワイズ創業者)

被害者はアメリカにもいる。2015年3月には実業家のサンディ・ファンギリスが、テキサス州の財界代表団と移動中にスパイ行為を働いたとして身柄を拘束された(2017年4月に解放)。

私と一緒に収監されていたアメリカ人学校教師デービッド・マクマーンは、身に覚えのない性的虐待の容疑で2013年に逮捕され、いまだに釈放されていない。いいかげんな司法制度の下で不運な身にある彼を、アメリカ政府は助けず、助けようとする姿勢も見えない。欧米諸国の政府は往々にして、中国との貿易を自国民の保護よりも優先したがる。

しかしイギリスでは、中国で不法に拘束された人たちの家族や支援者たちが「在外英国人権利グループ」を結成し、活動を始めている。外国で不当に身柄を拘束されているイギリス国民を解放するため、しかるべき措置を政府に義務付ける法律の制定を目指す運動だ。この動きに、他国の人々も追随してほしい。もはや、北京の顔色をうかがっている場合ではない。

かつての英国宰相ウィンストン・チャーチルは第二次大戦の勃発前夜に、ナチス・ドイツを虎に例え、「虎の口に頭を突っ込んだ状況で交渉はできない」と言ったと伝えられる。今の私たちも、虎におもねらず、一致団結して闘いに挑むべきだ。

©2019 The Diplomat

<本誌2019年12月24日号掲載>

【参考記事】中国獄中で忘れられるアメリカ人
【参考記事】中国で日本人21人が宗教活動で拘束──長期拘束される日本人は年々増えている

20191224issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

12月24日号(12月17日発売)は「首脳の成績表」特集。「ガキ大将」トランプは落第? 安倍外交の得点は? プーチン、文在寅、ボリス・ジョンソン、習近平は?――世界の首脳を査定し、その能力と資質から国際情勢を読み解く特集です。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏「イランが制裁解除を打診」

ビジネス

オープンAI、半導体工場建設で米政府の融資保証獲得

ビジネス

午前の日経平均は反落、主力株主導で5万円割れ 好決

ビジネス

仏ルノーがEV版新型「トゥインゴ」を発表、低価格帯
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 4
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 5
    「これは困るよ...」結婚式当日にフォトグラファーの…
  • 6
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 7
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 8
    NY市長に「社会主義」候補当選、マムダニ・ショック…
  • 9
    「なんだコイツ!」網戸の工事中に「まさかの巨大生…
  • 10
    【銘柄】元・東芝のキオクシアHD...生成AIで急上昇し…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 5
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 6
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 9
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 10
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中