最新記事

事故

運行停止した737MAX エチオピア航空遺族には米法律事務所群がる

2019年12月31日(火)09時00分

姉と甥を事故で亡くしたエイモス・ムビチャさんは、GALGを含む10社以上の法律事務所が遺族と接触するのを手伝ったという。だが彼は10月にGALGへの協力をやめた。彼が制止したにもかかわらず、GALGがある犠牲者の親族に接触しようとしたからだ。

ロイターはリベック夫妻とGALGにコメントを求めたが、どちらも回答がなかった。

ロイターが取材した家族の多くは、こうした売り込みを相手にしなかったと言うが、たいていは、自分自身で調べた後に弁護士を雇うことになった。

自身がケニアの弁護士であり、事故で弟のジョージさんを失ったトム・カバウさんは、「すべての弁護士が悪徳というわけではない。もしそうだったら、ボーイングが勝つことになる。我々が必要なのは、正義を実現してくれるような弁護士だ」と話す。

彼の家族は、フセイン・ロー・アンド・アソシエイツ、ウィズナー・ロー・ファームの2社と契約した。

巨額の報酬の可能性も

弁護士が航空機事故の犠牲者を代理し、米国の裁判所で訴訟に勝つ、あるいは和解に達する場合、賠償金に応じて高額の報酬を得られる可能性がある。

事故が航空会社の過失によるものではない場合、会社側が負担する賠償額には上限が設けられる。だが、航空機メーカーに関しては上限がないため、ボーイングに対する訴訟は、弁護士にとって大きな稼ぎになりうる。

この種の事故における原告側弁護士は、通常、着手金を取らない代わりに、和解金や賠償金の少なくとも20%を受け取る。遺族らによれば、エチオピア航空機事故においても、こうした標準的な慣例に沿っているという。

一部法律事務所の積極的なアプローチ以外にも、エチオピア航空機事故においては、ある弁護士が、遺族との接触に対して報酬を提示している。

前出の遺族のイイヘさんによると、、テキサス州のラムジ・ロー・グループの弁護士アダム・ラムジ氏が7月13日、ベイイヘさんに宛てて20分間に6回もメッセージを送り、面会してくれれば現金で謝礼を払うと申し出た。これは同氏のテキストメッセージの記録でも裏付けられた。

「15分お時間を頂ければ100ドル差し上げます」と、ラムジ氏は書いている。

ベイイヘさんはその後、シカゴのクリフォード・ロー・オフィシズを通じて訴訟を起こした。売り込みを掛けてこなかった弁護士を意図的に選んだという。

ラムジ・ロー・グループはシカゴで3件の訴訟を起こしたが、裁判官はそのうち2件を棄却した。遺族が、訴訟の原告とされている遺産「管理人」が見知らぬ人物だと申し出たためである。3件目の訴訟も、犠牲者とされる名前が搭乗記録にないとして棄却された。

この記事を配信した後、ラムジ氏は不適切な行為はなかったと主張するメールを送ってきた(ロイターはラムジ氏の主張を盛り込み記事を再配信した)。同氏は、彼の会社が応対した個人はすべて、先方から接触してきたか、広告に反応したケースだという。

ラムジ氏は「(場合によっては)貧困層のクライアントに交通費を提供する例があった」と述べている。

棄却された訴訟について尋ねたところ、ラムジ氏は「別人が犠牲者遺族を装ったものだ」として、「どのような仕事でも、こうした徒労は普通に見られる」と述べている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ロシアがイランに無人機「シャヘド」供与=ゼレンスキ

ワールド

トランプ氏、カーグ島再攻撃を示唆 イランとの取引「

ワールド

UAEフジャイラで石油積載一部停止、無人機攻撃受け

ワールド

トランプ氏 、 ホルムズ海峡に多くの国が軍艦派遣と
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのミュージカル入門
特集:教養としてのミュージカル入門
2026年3月17日号(3/10発売)

社会と時代を鮮烈に描き出すミュージカル。意外にポリティカルなエンタメの「魔力」を学ぶ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製をモデルにした米国製ドローンを投入
  • 2
    有人機の「盾」となる使い捨て無人機...空の戦いに革命をもたらす「新世代ドローン」とは?
  • 3
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目のやり場に困る」衣装...「これはオシャレなの?」
  • 4
    イラン攻撃のさなか、トランプが行った「執務室の祈…
  • 5
    ファラオが眠る王家の谷に残されていた「インド系言…
  • 6
    「映画賞の世界は、はっきり言って地獄だ」――ショー…
  • 7
    機内で「人生最悪」の経験をした女性客...後ろの客の…
  • 8
    ショーン・ペンは黙らない――「ウクライナへの裏切り…
  • 9
    ホルムズ封鎖で中国動く、イランと直接協議へ
  • 10
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 3
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」と言われる外国特派員の私が思うこと
  • 4
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 5
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 6
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 7
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開さ…
  • 8
    ショーン・ペンは黙らない――「ウクライナへの裏切り…
  • 9
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 10
    40年以上ぶり...イスラエル戦闘機「F-35I」が、イラ…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 3
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 4
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 5
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 6
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 7
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 8
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 9
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 10
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中