最新記事

配車サービス

米ウーバーが安全報告書を公開、1日平均8人が性的暴力被害に

2019年12月11日(水)18時45分
松丸さとみ

2年間で事故死107人、レイプ被害464人...... CBC News-YouTube

<ウーバー・テクノロジーズは、2017〜2018年の米国での同社プラットホーム利用による死亡事故や殺人、性的暴力などに関する安全報告書を発表した......>

2年間の合計利用回数23億回

米配車サービス大手のウーバーの運営会社ウーバー・テクノロジーズはこのほど、2017〜2018年の21カ月間における米国での同社プラットホーム利用による死亡事故や殺人、性的暴力などに関する安全報告書を発表した。この類の報告書は同社にとって初めてとなる。

ウーバーは報告書発表にあたり、一般的に企業は自社サービス利用に伴う性的暴力など深刻な問題に触れたがらないと指摘。しかしそのような秘密主義では安全にはならない、と考えているのが、今回、安全報告書をまとめた理由だと説明した。

同社によると、前述の期間中、米国内でウーバーが利用された回数は合計23億回に達し、1日平均では310万回となった。今年(10月31日まで)だけで見ると、1日400万回弱利用されており、1秒あたり45回となる。

ウーバーは報告書の中で、全体の利用回数のうち99.9%は安全上の問題がまったくなかったとしている。忘れ物や返金、目的地までのルートなどで何らかのサポートを必要としたのは1.4%だった。安全に関する問題でサポートを必要としたものは0.1%で、そのほとんどが乱暴なブレーキや口論などの内容だったという。安全面での重大な問題が発生したのは、全体の0.0003%だったとしている。

2年間で事故死107人、レイプ被害464人

具体的な数字を見ると、2017年と2018年に、ウーバー利用中の死亡事故は97件あり、107人が死亡した。また、暴力事案で死に至った被害者は19人おり、うち8人が乗客、7人がドライバー、4人は第三者(ウーバーのドライバーでも利用客でもない人物)だった。

性的暴力に関しては、ウーバーは「性的でない身体部位への同意のないキス」「強制性交未遂」「性的身体部位への同意のない接触」「性的身体部位への同意のないキス」「強制性交」の5つのカテゴリーに分類。これらを合計すると、2017年は2936件、2018年は3045件で合計5981件あったという。

2017年から2018年の1年間でウーバーの利用回数自体が10億回から13億回に増えているため、性的暴力の被害の割合としては1年間で16%減少したと報告書は述べている。前述の5つのカテゴリーのうちもっとも多かったのは「性的身体部位への同意のない接触」で、2017年は1440件、2018年は1560件。割合としてはそれぞれ、0.0001%だという。

また、レイプ(強制性交)は、2017年は229件、2018年は235件あった。割合は0.00002%となる。

なお報告書によると、メディアで報じられたウーバーでの性的暴力2894件のうち、92%がドライバーが加害者だった。こうしたことから、「ウーバーで性的暴力」というとドライバーが加害者と思われがちだが、実際は、今回の報告書でカバーされた性的暴力のうち、加害者とされた人物の45%が乗客だったという(ドライバーは54%)。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ローマ教皇レオ14世、初のクリスマス説教 ガザの惨

ワールド

中国、米が中印関係改善を妨害と非難

ワールド

中国、TikTok売却でバランスの取れた解決策望む

ビジネス

SOMPO、農業総合研究所にTOB 1株767円で
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 2
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足度100%の作品も、アジア作品が大躍進
  • 3
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...どこでも魚を養殖できる岡山理科大学の好適環境水
  • 4
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者…
  • 5
    ジョンベネ・ラムジー殺害事件に新展開 父「これま…
  • 6
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 7
    ノルウェーの海岸で金属探知機が掘り当てた、1200年…
  • 8
    「時代劇を頼む」と言われた...岡田准一が語る、侍た…
  • 9
    ゴキブリが大量発生、カニやロブスターが減少...観測…
  • 10
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 1
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 2
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 5
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 8
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 9
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 10
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 8
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中