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イスラエル総選挙後に待つネタニヤフの過酷な運命

2019年9月25日(水)16時50分
ジョシュア・キーティング

総選挙で圧勝していれば、首相在任中の不逮捕特権を認める法案を通して逃げ切ることもできただろう。しかしこの情勢では難しい。ネタニヤフが首相の座から引きずり降ろされ、収監される(イスラエルの首相経験者としては2人目)可能性は高まっている。

頼みの綱のアメリカ政府との関係も怪しくなっている。4月の総選挙直前には、トランプ米大統領がゴラン高原に対するイスラエルの主権を正式に認める宣言に署名したことを利用できた。だが今回は、追い風になりそうな動きがない。トランプがイランのロウハニ大統領との会談に前向きなことも、ネタニヤフには逆風だ。

閣僚や補佐官のクビを次々と切ってきたトランプなら、いつネタニヤフを見限ってもおかしくない。総選挙で明らかなように、今もイスラエルでは右派が優勢だ。ガンツですら、それほど左派的とは言えない。今の混迷が教えてくれる教訓は1つ。指導者の欠点や弱さは時に政治の、そして国家の命運を左右するということだ。

©2019 The Slate Group

<本誌2019年10月1日号掲載>

【関連記事】イスラエル、ゴラン高原の入植地を「トランプ高原」と命名
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