最新記事

東京五輪

東京五輪まであと1年 アメリカなど世界の反応は?

2019年8月5日(月)16時30分
安部かすみ

Issei Kato-REUTERS

前回のリオデジャネイロとは対照的な高需要

「東京五輪への関心の高さは記録的」と驚きを隠せないのは、ニュージャージー州に本社を置くコゥ・スポートの担当者。

同社は、オリンピック大会組織委員会の公式パートナーおよび、アメリカなど海外8ヵ国に割り当てられたチケットの正規販売店だ。同社で販売していた全競技のチケットはすべて、現時点で売り切れ状態になっている(東京パラリンピックのチケットは、まだ登録受付中)。

NY Daily Newsは先月、「東京オリンピックのチケット、手に入れた? 比類なき需要の高さで多くが失望」という見出しで、抽選販売で当たらなかった人が続出したことを報じた。「チケットが売れ残り、無料配布までされてしまった前回のリオ・オリンピックとは対照的だ」と同紙。

またオリンピック主催側の関係者の声として、「チケット総数は780万枚」だと同紙。このうち25%はスポンサーや関係者の手に渡り、20~30%は日本以外の国々で販売されているそうだ。非公式だが、AP通信の見積もりでは「日本で購入できるチケット数は400~500万」という情報もある。

いずれによせ、限られたチケット枚数に対してそれを上回る人々が抽選販売の登録し、多くの人が手に入れられずに失望したことを報じた。

オリンピックPR映像は外国人が抱く「ザ・ニッポン」

One year to go!」を合言葉にオリンピック公式サイトではカウントダウンのためのウェブサイトが立ち上がったり、TVの各ニュースで報じられたり、ソーシャルメディアで「#1YearToGo」タグが使われたりと、「あと1年」ムードが徐々に国外でも高まっている。

中でも、YouTube「Olympic Channel」にアップされている「One Year To Go Special | Tokyo 2020」のPR映像が、「海外から見たザ・ニッポン」を50秒にうまく取り入れた内容になっていて興味深い。

富士山、回転寿司、鉄板焼き、コスプレ、渋谷交差点、夏祭り ── これこそ、海外の人々がイメージする今の「ニッポン」なのだろう。

YouTubeやソーシャルメディアに続々と挙げられている情報には、「さすがは日本、準備が着々だ」という意見や、「宇多田ヒカルのファンなので、彼女が歌ってくれればいいのに」など、日本ファンからオリンピックを心待ちにしている意見が多いが、中には「私は放射能のある場所には行かない」「選手に放射能たっぷりの食べ物を食べさせるなんて」といったような、風評被害とも言えるアンチからのコメントも根強く見受けられる。

アメリカでは2020年、五輪より大切なものが待っている

アメリカでは実際のところ2020年というと、オリンピックより大切なことが待っている。「次期大統領選挙」だ。

そもそも私の周囲の人々の反応をみても、次回のオリンピックが東京であるということは充分に認知されているが、「オリンピック? 次回はいつ開催だっけ?」といったような意見や「来年? 何月ごろにあるの?」というレベルの質問が出るくらい、現時点では「まだ」東京オリンピックについての一般的な人々の認知度や関心は低い。

「来年の夏ごろ、旅行で東京に行きたい」という友人がいたので、「オリンピックを観に行くの?」と聞いたら、「オリンピック?そうだったっけ? その時期は旅費も高くなるので、時期をずらそうかしら」というコメントもあった。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米中外相会談、ロシア支援に米懸念表明 マイナス要因

ビジネス

米PCE価格指数、3月前月比+0.3%・前年比+2

ワールド

ベトナム国会議長、「違反行為」で辞任 国家主席解任

ビジネス

ANAHD、今期18%の営業減益予想 売上高は過去
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 3

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 4

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP…

  • 5

    未婚中高年男性の死亡率は、既婚男性の2.8倍も高い

  • 6

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 7

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 8

    アカデミー賞監督の「英語スピーチ格差」を考える

  • 9

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 10

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 7

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこ…

  • 8

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 9

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中