最新記事

コーシャ

イスラエル大使がツイートした「墓穴」修正写真にユダヤ人失笑

Israeli Embassy Tries to Hide Ambassador's Non-Kosher Lobster in Photo

2019年7月9日(火)18時32分
マット・キーリー

いけないモノを食べていたブラジルのボルソナロ大統領(左)とシェリー・イスラエル大使 Israeli Embassy in Brazil/Twitter

<イスラエルの公人ともなると、厳しい戒律を破るのを見つかれば大事、隠そうとしてバレれば笑い者>

駐ブラジル・イスラエル大使のヨッシ・シェリーは先日、ブラジル大統領ジャイル・ボルソナロとのランチ写真を、なんの気なしにツイッターに投稿した。

ところが、テーブルにのっていた料理は、ユダヤ教の戒律で食べることを許されたコーシャフードではないロブスター。それを隠すために画像修正したものの、雑な修正だったせいでロブスターが透けて見え、写真はあっという間に拡散した。

シェリーとボルソナロは7月7日、ブラジルで開催されていたサッカー南米選手権「コパ・アメリカ」の決勝戦直前に、首都ブラジリアにあるシーフードレストランで昼食をともにした。だがロブスターはどちらの首脳にとってもまずかった。ボルソナロは、ブラジルではロブスターは贅沢品であるとして批判を浴びた。シェリーは、ユダヤ教の食の決まりを破っているとバッシングを受けた。ユダヤ教では、ロブスターのようにひれと鱗のない魚介類は禁じられている。

イスラエル人ジャーナリストのノア・ランダウはヘブライ語で、「ブラジル駐在のイスラエル大使は(画像加工ソフト)フォトショップの専門家を雇ったほうがいい」とツイート。また、多くのユーザーが、黒く塗りつぶされた部分にロブスターの絵を貼りつけたり、スレッドにロブスター関連のGIF画像をアップロードしたりして大使を笑
っている。

修正するなら完璧にしよう


持ちつ持たれつの関係

イスラエルとブラジルは、外交的に密接な関係にある。シェリーは、ボルソナロが大統領選で勝利をおさめたあとにブラジルに赴任した最初の外国大使だ。さらに、イスラエル首相のベンヤミン・ネタニヤフは、2019年1月に行われたボルソナロの大統領就任式に出席、ブラジルを訪問した初のイスラエル首相となった。

ボルソナロは4月、ホロコーストについて次のように発言した。「私たちは、許すことはできるが、忘れることはできない。自分たちの過去を忘れる者に未来はない」

これを受けて、ホロコースト犠牲者を追悼するエルサレムの国立記念館「ヤド・ヴァシェム」などユダヤ人の多くが、ホロコーストは「許される」類いのものではないとボルソナロを批判した。しかし、シェリーはイスラエル軍ラジオでボルソナロを擁護し、「ボルソナロは、許しは個人的な問題だと言っただけだ。人々は許すかもしれないが、彼個人は許さないという意味だ」と述べた。

ボルソナロは5月、「南十字国家勲章」をシェリーに授与した。この勲章は、ブラジルに大きく貢献した外国人に対して与えられる、同国最大の栄誉だ。

コーシャフード・ベスト10
今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:米政界の私的チャット流出、トランプ氏の言

ワールド

再送-カナダはヘビー級国家、オンタリオ州首相 ブル

ワールド

北朝鮮、非核化は「夢物語」と反発 中韓首脳会談控え

ビジネス

焦点:米中貿易休戦、海外投資家の中国投資を促す効果
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 5
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 6
    【クイズ】12名が死亡...世界で「最も死者数が多い」…
  • 7
    海に響き渡る轟音...「5000頭のアレ」が一斉に大移動…
  • 8
    必要な証拠の95%を確保していたのに...中国のスパイ…
  • 9
    【ロシア】本当に「時代遅れの兵器」か?「冷戦の亡…
  • 10
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 6
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 7
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した…
  • 8
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 9
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 10
    熊本、東京、千葉...で相次ぐ懸念 「土地の買収=水…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ…
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 8
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 9
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中